よみタイ

ダメ恋やめられる!? 〜発達障害女子の愛と性〜

どうしても不倫をしてしまう……衝動性を抑えられない彼女が選んだ生き方とは

不倫をしたら離婚という誓約書を書くも守れず……

「18歳のときに初めて恋人ができて27歳で結婚するまで、ずっと本命のパートナー以外にも他に恋人や好きな人がいる状態でした。でも、本命のパートナーがいるのに浮気をしたり、なんでこそこそ不倫をしなきゃいけないのかがわからない。悪いことをしているのはわかるけど、なぜ悪いのかがわからないという感じです。何人も好きな人ができる自分が嫌いで自己嫌悪に陥っていました。そんな気持ちが18歳から28歳まで続きました。毎回必ず浮気や不倫が秒でバレるんです。カウンセリングに行った理由は仕事ができないのが一番でしたが、必ずバレる浮気をしてしまうことを心の病気なのではないかと夫が心配して、知人のカウンセラーを紹介してくれたんです。ある時は、不倫相手とSkypeでラブラブな内容のチャットをした後、ノートパソコンを開いたまま入浴してしまったりとか……。そのパソコンのモニタを見た夫が激昂して風呂場のドアをバァンと蹴り上げて入ってきて、『なんやこれは!』と、パン切り包丁を喉に突きつけられ、全裸で土下座をしたこともありました。しかも、よりによってその不倫相手は夫の親友だったんです。その後も何度も不倫を繰り返したことから、もう一度不倫をしたら離婚で慰謝料はこれだけ、といった内容の誓約書を書いて判子も押しました」

 しかし、夫と修羅場に陥りそんな誓約書を書いていたにもかかわらず、また不倫をしてしまい、誓約書通り離婚となった。結婚生活はわずか1年だった。どのようにして好きな人ができて不倫に至ったのかを聞くと、元々地元が同じで上京してきた仲間や、予備校時代の友人など、基本的にはプライベートの知り合いが多かったという。仕事関係で好きになった人とは不倫にまでは至らなかった。惚れやすい性格なのだろうか。契約書まで書いているのに不倫してしまうのはどうしてなのだろうか。

「そうですね。ものすごく惚れやすいなと思います。『好き』と『嫌い』があるとすると、『好き』のほうに針が触れやすいという感覚はあります。好みのタイプは賢い人とずっと言ってきたのですが、実際に好きになる人はお金にだらしなかったりと、結構ダメ男と呼ばれる人が多かった気がします。
 不倫は衝動ですね。恋愛に限らず、一度こう思ったらやり遂げたいという思いが強くて。
 小さい頃からなのですが、理性と感情がバラバラで、感情が自分を振り回す感覚があるんです。暴走しやすい車みたいな感じで、ただ乗っているだけだと感情が暴走してあらぬ方向へ行ったり事故を起こしてしまう。なので、理性や知性を身につけることによってそれを上手にコントロールしてちゃんと運転しないといけない、暴走車側の私と運転手側の私という感覚が常にありました。でも、一生懸命安全運転しようとしても暴走するときは理性より感情のほうが強いので、真っ向から勝負すると理性が負けてしまいます。だから、真っ向勝負ではなく、闘牛士のように、いかにかわしたり、いなしたり、なだめすかしたりするかという感じで、感情と衝動との折り合いをつけようと最近は気をつけています」

 この感情のコントロールの苦手さは他の発達障害当事者からも聞いたことがある。その人は感情が抑えきれなくなって仕事中に泣いてしまうという悩みを持っていたが、ミナコさんの場合はそれが恋愛に影響しているようだ。ミナコさんは幼少期から、男女問わず恋愛感情を抱いてきたため、自分は相手のセクシュアリティに関わらず好きになる「パンセクシュアル」だと気づいたという。
 離婚後は元夫の親友だった相手をパートナーとし、他に2人の女性のパートナーを作り、現在は恋人が3人いる状態だ。離婚を経てミナコさんはポリアモリーとして生きていくことに決めたのだ。

イラスト:にくまん子
イラスト:にくまん子
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姫野桂

ひめの・けい
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)、『生きづらさにまみれて』(晶文社)がある。


Twitter @himeno_kei

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