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ダメ恋やめられる!? 〜発達障害女子の愛と性〜

聖飢魔IIの追っかけで借金まみれ……逃げるように結婚した私に起こった「異変」

セフレ、二股、ヒモ、ホス狂い……「ダメ恋」をやめられないのは、私に男を見る目がないから!?
『私たちは生きづらさを抱えている』『発達障害グレーゾーン』などの著書があるライターの姫野桂さんが、発達障害女性たちの恋愛事情に迫るルポ連載。
今回は、発達障害当事者の官能小説家・ミサさん(仮名)の恋愛模様に迫ります。

コギャル世代で処女は早く捨てたいという時代

「最近薬を変えた影響で時間感覚が掴めなくなってしまい、少し遅れます」そうLINEが入って予定より数分遅れてやってきたのは、官能小説家のミサさん(仮名・43歳)。実年齢よりも少し若く見える。バツ2で現在は一人暮らし。子どもはいない。
 ミサさんに発達障害の診断が下りたのは今から3年前の40歳のとき。一時期は婦人科系の病気を患っていたこともあり、恋愛をお休みしていたこともあるが、彼女もまた、以前取材したエリカさんと同様、彼氏が途切れたことがないという。しかしそれは、発達障害の影響というよりは、コギャル世代であり、常に彼氏がいるのが当たり前で早く処女を捨てないとかっこ悪い、という価値観で生きていたせいではないかと語る。
 初体験は高校1年生のとき、当時の彼氏と半年ほど付き合ってから済ませた。ミサさんの場合、彼氏はコロコロ変わるわけではなく、大体1〜2年は交際が続いていたという。

 ミサさんと話していて印象的なのは、次から次へとくるくると話題が変わることだ。かなりのおしゃべり好きと見られる。これもまたADHDの特性としてよく言われることだ。

「10代後半から20歳まではバンドの聖飢魔IIの追っかけをしていて、北海道から沖縄までツアーがあれば全部のライブに行っていました。でも、その追っかけの際の交通費や宿泊費、それに地方の名物を食べたりと小旅行を楽しんでいたので、すぐにお金がなくなって消費者金融で借金をしてしまって……。当時は貸金法が緩くて若い人でも簡単に大金を借りられたんです。借りた額はあっという間に300万円まで膨れ上がってしまいました」

空気が読めずキャバクラのバイトをクビに

 聖飢魔IIの追っかけを続けながら借金を返すために、ミサさんはキャバクラでアルバイトを始める。しかし、ここで大きな壁にぶつかる。

「空気が読めなかったので、他の女の子たちがロッカールームで話していた彼氏の話なんかをお客さんの前でしちゃっていたんです。『○○ちゃんの彼氏ってこんな人だよね』とか具体的なことを全部言っちゃって。でも当時はそれがいけないことだとはわかりませんでした。それで、女の子全員から無視されるほど嫌われてしまって、1軒目の店はクビになりました。そのとき初めて、この世には『暗黙の了解』というものがあることを知りました。それで、2軒目や3軒目のお店でトライ&エラーを繰り返し、お客さんや女の子同士での会話を続けて、ようやく人並みのコミュニケーション能力を身につけられました。この3年間の水商売のおかげで今の私のコミュ力が培われたと言っても過言ではありません。最後の方は店でナンバー3に入るくらいまでコミュ力が上がりました。今の私なら、お客さんの前で自分の彼氏の話をバラされたら怒るとわかります(笑)」

 ミサさんはキャバクラ勤務でコミュニケーション能力を自力で身につけた上、聖飢魔IIの追っかけで膨れ上がった借金も無事返済した。そして、二十歳のときに聖飢魔IIが解散し、ミサさんの追っかけ生活も幕を閉じた。

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姫野桂

ひめの・けい
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)、『生きづらさにまみれて』(晶文社)がある。


Twitter @himeno_kei

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