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ダメ恋やめられる!? 〜発達障害女子の愛と性〜

バツ2の恋愛依存官能作家を救った「薬のチカラ」

セフレ、二股、ヒモ、ホス狂い……「ダメ恋」をやめられないのは、私に男を見る目がないから!?
『私たちは生きづらさを抱えている』『発達障害グレーゾーン』などの著書があるライターの姫野桂さんが、発達障害女性たちの恋愛事情に迫るルポ連載。
前回に続き、発達障害当事者の官能小説家・ミサさん(仮名)の2度の離婚後の人生に迫ります。

発達系女子に多い「ファッション迷子」

 二度の離婚を経て、官能小説家として活躍するミサさん。しかし、やはり恋愛依存が治らず仕事よりも恋愛を優先してしまい、執筆がおろそかになってしまうこともしばしば。原稿の締め切りは常にギリギリだった。

 ミサさんは自分に似合うファッションがわからず、これまでの人生はずっとファッション迷子で、好きな男性から「君はこんな服が似合うと思うよ」と言われるとそのままそのファッションを取り入れてきたという。これは私もまったく同じで、以前、好意を寄せていた男性に私のファッションを全否定され、頭の先から足の先までファッションの系統をガラリと変えたことがあるし、現在付き合っている彼氏からも「髪が長いほうが好き」と言われたので伸ばしている最中だ。ミサさんは少し前には森ガール風の格好をしていたこともあったがいろんな人から「スタイルも悪く見えるし似合わない」と言われ、現在は少々清楚系の無難な格好で落ち着いている。

「自分の容姿に対しての客観性がないのでオシャレが苦手なんです。当時関係を持っていた古着系統が好きな男性からは『自分のためのオシャレをもうちょっと頑張ろうよ、僕が選んであげるから』と言われたことがあり、一緒に古着屋さんで選んでもらい、素直にそれを着ていました。他にも、モテる人から『こういう感じのファッションがいいよ』と言われてそれを着ると実際に周りからの評価も上がったので、客観的に見て似合っていたのだろうなと思います」

 男性から「こんな服を着て」と言われても、自分の好みの服でなければ着ないという女性は多い。だが発達障害女子は「これが私だ!」という自信が持てず、ファッション迷子に陥りやすい傾向があるように思える。または、物事にこだわる特性がある人は徹底してファッションを研究することもある。数年前、その人の骨格に合わせてファッションを分類する「骨格診断」が流行ったとき、知人の発達障害女子は自分の骨格診断の結果を分析して、診断結果に合う服しか買っていなかった。

 話を恋愛に戻そう。二度目の離婚から数年後、ミサさんは婦人科系の疾患にかかってしまい体調が優れない日々が続き、しばらく恋愛を休むことにした。

「恋愛をお休みしている間、たまたまネットで発達障害について知りました。ADHDって多動な人のことだと思いこんでいて、自分には多動はないので発達障害ではないと思っていたのですが、発達障害のチェックリストを見れば見るほど、物忘れが激しいとか失言が多いとか、自分の特徴に当てはまっていて……。それでTwitterで発達障害の疑いがあるかもしれないとツイートしたら発達障害当事者のフォロワーさんから『先生は発達障害だと思いますよ』と返信が来ました。これが2017年のことで、当時はまだ病院には行かず、発達障害に効果的だと謳っているサプリを取り寄せたりしていました」
 
 そして2018年、ついにミサさんはクリニックに発達障害の検査を受けに行く。診断は予想通りクロ。そして、ADHDの薬であるストラテラを処方された。ADHDの処方薬は現在ストラテラとコンサータ、インチュニブの3種類が出ており、効果は人それぞれで個人差が激しい。私もストラテラを服用しているが、服用前より脳内が整理され、少しだけケアレスミスが減ったように感じている。私の場合は飲まないより飲んだほうがマシ、という程度だ。しかし、ミサさんの場合は劇的な効果がもたらされた。

「常に恋愛を優先していたのが恋愛の優先順位が下がって仕事に集中できるようになりました。今までは恋愛で自分をハイテンションに保っていないと日常生活や仕事へのやる気が出なかったんです。だから、元夫と離婚して恋愛していなかった時期はうつ気味になって床に話しかけるくらい落ち込んでいました。それが薬を飲み始めてからは恋愛がなくても穏やかな生活を送れるようになったんです。周りの友達からも、『恋愛依存が治ってすごいね!』と驚かれるほどです。今も恋愛中ですが、仕事の邪魔になるような恋愛はしたくないなと思って、相手の方とは程よい距離感を保てています。
 あと、元々SMが好きで、以前は初対面の人とホテルに行ってプレイしていたのですが、そのような危険なことをしたいという衝動もおさまりました。ちなみにSMは主治医から禁止令を出されています(笑)」

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姫野桂

ひめの・けい
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)、『生きづらさにまみれて』(晶文社)がある。


Twitter @himeno_kei

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