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ダメ恋やめられる!? 〜発達障害女子の愛と性〜

聖飢魔IIの追っかけで借金まみれ……逃げるように結婚した私に起こった「異変」

夫の家族から双極性障害を疑われる

 ミサさんは高校卒業後、漫画家を志望して頻繁に出版社に持ち込みをしていたという。しかし、漫画家では芽が出ず、小説に転向したところ、大手出版社からジュニア小説家としてデビューできた。21歳で小説家デビューなので、かなり早い方である。また、当時は性描写の激しい小説が流行っていたため、官能小説を自分の携帯サイトにアップしたところ、個人サイトにもかかわらず、アクセス数が1日で3〜4万PVもいくことがあった。これはお金にはならなかったが、「エッチな小説を読みたい人がこんなにいるんだ!」と気付き、それからも官能小説を書き続けた。

 ミサさんの親は「女は一人暮らしをしたらダメだ、結婚したら女は家にいなければダメだ」と言うようなプチ毒親だったという。そのため早く家を出たくて、当時出会い系サイトで出会った男性と23歳で結婚。結婚の決め手は顔がタイプだったからだそうだ。しかし、この結婚でミサさんの生活は一変する。

「当時の夫は財産を持っていたので働かなくてもいい生活を二人で送っていました。毎日昼間からお酒を飲んだりゲームをしたりして、朝から晩まで一緒にいることが多かったです。元夫はゲームばかりしていたのですが、私のほうは趣味でバンドとゴスペルと音楽サークルをやっていたのでその予定も詰め込んでいました。
 今思うと、この一度目の結婚のときが一番発達障害の特性が現れていたと思います。常に次のことを考えているのでトイレに入るたびにトイレの水を流し忘れるんです。あいかわらず、ネットで官能小説を書くことにもハマっていたのでそのことも考えていると物忘れが激しくなってしまって。あとは衝動性です。いきなりピアノや高額なギターを買ってレッスンに通ってみたり。でも買ったところで一度も弾かない楽器もありました。
 それと過集中もすごかったです。仕事をしなくてもいいので何時間でも趣味に費やしていました。当時、夫の家族の中に精神科に通っている人がいたため、夫の両親からは『ミサちゃんはひょっとしたら躁うつ病(今で言う双極性障害)かもしれないから 一度病院で診てもらったほうがいいんじゃないの?』と言われたこともありました。当時は発達障害なんて概念はありませんでしたから……」

 

イラスト:にくまん子
イラスト:にくまん子

 働かなくてもいい生活は一見羨ましくもあるが、ミサさんにとっては発達障害の特性がもろに出てしまい、息苦しい生活だったようだ。
 そんな中、衝動性による最大の事件が起こる。なんと突然、売れないバンドマンと付き合い始めて2週間で駆け落ちしてしまったのだ。当時の夫のことは好きだったが、365日24時間一緒にいることに息が詰まってしまっていたのだという。
 駆け落ちを経て離婚した最初の夫との結婚生活は5〜6年だったとミサさんは語る。詳細に年数を覚えていないのは、数字に弱いから、とのこと。数字に弱いのは私も含め、発達障害の特性の一つだ。自分の年齢すら、たまにわからなくなることがある。
 元夫は離婚の際に「絶対何か精神的な病気だから、病院に行った方がいいよ」とミサさんのことを心配してくれたそうだ。

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姫野桂

ひめの・けい
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)、『生きづらさにまみれて』(晶文社)がある。


Twitter @himeno_kei

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