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爪切男「クラスメイトの女子、全員好きでした」

恋の隠し味はしそと塩昆布

 その後はクラスが別々になってしまい、二人で話す機会はなくなった。六年生で久しぶりに同じクラスになった時、もう片岡さんは鼻くそを食べなくなっていた。片岡さんが自分の知らない女の子になったような気がして寂しかった。

 大人になってからも再会できていない片岡さんに聞きたいことが山ほどある。
 いつ頃鼻くそを食べなくなりましたか?
 そのきっかけはなんですか?
 自分の子供が鼻くそを食べたりしてませんか?
 昆布を見たら鼻くそのことを思い出しませんか?
 大人になってから、鼻くそをほじった時に、私との思い出が蘇ったりしませんか?
 私は鼻くそをほじると、たまにあなたのことを思い出します。
 そして今ならはっきりわかる。
 片岡理恵さん、私は鼻くそを食べるあなたが好きでした。

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爪切男

つめ・きりお●作家。東京都中野区在住。2018年1月、『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)にてデビュー。現在、週刊SPA!にて勤労エッセイ『働きアリに花束を』を連載中。2019年11月末に扶桑社より文庫版『死にたい夜にかぎって』発売予定。また、中央公論新社BOCにて好評を博した『男じゃない女じゃない仏じゃない』も来年書籍化予定。トークショー、物言わぬ変人役でのドラマ出演、サウナコンテストの審査員など、作家以外の活動も多種にわたって迷走中。

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