よみタイ

稲田ズイキ「罰当たりなほどにユルくてポップな仏教トーク」

仏教の「縁起」を理解すれば、失恋の傷は秒で癒える!かもしれない

「こいつぁ春から縁起がいいわぇ~」じゃないですからー!

「恋」と聞くと、何か日常生活に突如として現れた石碑のように確固としたものを想像する人もいるかもしれない。
でも、恋は物質ではなく、状態である。その輪郭線は絶え間なく揺れているし、その構成物は絶え間なく入れ替わり続けている。
後述するが、「恋」とは決して不変のものではなく、無数の条件のもと、さまざまな要素が相互に関与し合って成り立っている一つの「現象」に過ぎないのだ。

こうした成り立ちのことを仏教では「縁起」という。現代で「縁起」と聞くと、

・茶柱が立つ
・初夢で一富士二鷹三茄子を見る
・音楽のランダム再生で、倖田來未の次にmisonoが流れる

といったシーンを想像するのではないだろうか。
「縁起がいいわねぇ」もしくは「縁起が悪いわね」といった意味合いで使われることが多い。つまり「運勢」のような意味だ。

しかし、これは仏教の「縁起」とは、関係のないもの。そもそも仏教には「運勢」といった概念は存在しない。
例えば「仏滅」とかよく言うけど、由来は仏教とは全く関係がなく、ただの当て字なのだそう。「日々是好日」という禅語もあるように、仏教では毎日が最高、毎日がエブリデイなのだ。

「縁起」とは、お釈迦さま(a.k.a.ブッダ)が「人生マジ思い通りにならねぇ、きっつ〜〜〜」と僕たちのように悩み、長い修行の果てに気づいたもの。

すなわち、「全ての現象は、原因や条件が相互に関係しあって成立している」という真理のことである。結果に対して、直接的な原因のことを「」、間接的な条件のことを「」といい、すべてのものは独立して存在せず、因と縁によって成り立っていることを「縁起」という。
恋も、「好き」という感情を「因」として、様々な「好き」条件の「縁」のもとで成り立っている現象だと言える。

仏教ではあらゆるものが「諸行無常」だと説かれる。この世の全ては不変ではなく、目の前のポテチでさえも1秒2秒と経つごとに目には見えないレベルで変化しているのだと。それもすべてのものが縁起の上に成り立っているからである。

さまざまな要素が「りて起こる」のが恋

恋愛関係がどのように成り立っているのか解析してみると、少なくとも必ず存在するのは、私そして君の「好き」という感情だ。互いの「好き」が磁力のように惹かれ合って、恋という現象は成り立っていると言える。

でも、その「好き」という感情は厄介。一回自分の心に聞いてみてほしいんだけど、「好き」って感情、もうめちゃくちゃに動いてませんか? 自分の「好き」指数、安めのルンバかよってくらい、ハチャメチャだったりしませんか?

性格、ファッション、ルックス、職業、年収、趣味、特技、首筋の匂い、一人称が「わい」であること、料理はできるか、直近で何を買ってくれたか、将来結婚してくれるか、お風呂場でおしっこはしないタイプかなど、自分でも把握できない無数の条件の上に「好き」は立っている
そして、その条件も増えては消えて、たちまち入れ替わったり、例えばもともと醤油顔が好きだったが、星野源に惚れ込み、突然塩顔が好きになることもある。とばっちりを受ける醤油顔彼氏。恋の足元はグラグラだ。

著者による「恋愛縁起」の図。お風呂場おしっこ問題は重要だ。
著者による「恋愛縁起」の図。お風呂場おしっこ問題は重要だ。

だから、恋は無常だ。突然「重い」とフラれてしまうし、突然恋が冷めてしまうことだってある。

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稲田ズイキ

いなだ・ずいき●僧侶。1992年京都の月仲山称名寺生まれで現・副住職。同志社大学を卒業、同大学院法学研究科を中退、その後デジタルエージェンシー企業インフォバーンに入社。2018年に独立し、寺に定住せず煩悩タップリな企画をやる「煩悩クリエイター」として活動中。コラム連載など、文筆業のかたわら、お寺ミュージカル映画祭「テ・ラ・ランド」や失恋浄化バー「失恋供養」、煩悩浄化トークイベント「煩悩ナイト」などリアルイベントを企画しています。フリースタイルな僧侶たちWeb編集長。Twitter @andymizuki
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竹内佐千子

たけうち・さちこ●漫画家。おっかけ対象が男子で恋愛対象が女子のレズビアン。
自身の恋愛体験を描いたコミックエッセイをはじめ、おっかけ、腐女子、などをテーマにしたコミックエッセイを描き続け、最近はストーリー漫画も描いている。
赤ちゃん本部長』(講談社)、『生きるために必要だから、イケメンに会いに行った。』(ぶんか社)など。
ホームページhttp://takeuchisachiko.jp/
Twitter @takeuchisachiko

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