2019.9.29
罰を恐れずに言えば、神は「ゆるキャラ」、仏は「アイドル」なのだ
神と仏が一体化していた時代があった?
以上の通り、神と仏は全然違う。「仏って神的なやつ?」がいかに間の抜けた質問なのか、これでご理解いただけたのではないだろうか?
でも、ですね。ここで謝罪したいことがありましてですね。
なんというか、神と仏が頭の中でごっちゃになってしまう気持ちは重々わかるというか、それは仕方ないというか……。
というのも、日本ではずっと神と仏が混ざりあって、信仰されてきたからです(「神仏習合」という)。
奈良時代に仏教が日本に伝来した際に、日本に元々あった神への信仰と混ざり合う形で、神も仏、仏も神といったように一体化して受け入れられていたのだ。神道と仏教が別の宗教であるという布告(「神仏判然令」)が明治維新で出されるまで、実に1000年以上の期間もその一体化は続いたのだ。
だから、日本国内では神社の象徴である鳥居があるお寺もあれば、境内にお寺がある神社だって現存している。神と仏がパーティーを組んでいた時代があったのだ。
ここまでの僕の話を聞いていたら、『はぁ? なんでアイドルとゆるキャラが同一視されてるんだよ?』と言いたくなるだろうし、『前田敦子、ガチでくまモンじゃんかよ!』とスマホを握りつぶしたくなる気持ちもわかる。
なんでそんなことが起こっていたかというと、誤解を恐れずに言えば「ローカルタレント(地方タレント)」みたいな現象だと思ってくれていい。
たとえば、こんなシチュエーションを想像してみてほしい。
もしも、ゆるキャラ(神)が活躍する地方で、アイドル(仏)が活動し始めたら……?
ゆるキャラ『はぁ? お前アイドルのくせに、地方来んじゃねーよ』
アイドル『はぁ? お前こそゆるキャラのくせに、ガチで地方PRしてんじゃねーよ。ゆるさを忘れんじゃねーぞ』
こんな感じでいがみ合うだろう。教義も違えば、概念も違う。そんな神と仏が一体化して捉えられていたのは、異なる存在がぶつかり合わないよう、さらには民衆の願いを叶えたり、苦しみを救済するためであったのである。
※歴史上、神の方が偉いだとか仏の方が偉いだとか色々揉めてるんだけど、長くなるので割愛
そこで、アイドルとゆるキャラの2つの性質が混ざり合って、新しい概念が生まれた。それが「ローカルタレント」である。「モーニング娘。」の中澤裕子が福岡で超売れっ子タレントになっていたり、グラビアアイドルの手嶋優が栃木のローカル番組で活躍をしているように、両者が融合することでアイドルっぽさ・ゆるさの両立が図られたのだ。つまり、神仏習合は「地タレ(地方タレント)」なのだ。
ちなみに、『えっ、異なる宗教が融合ってマジでそんなことあんの?』とドン引きする人もいるかもしれないが、別にこの現象自体が特殊なわけではない。
世界を見てみても、ギリシャ神話の神様がローマの神様に影響を与えていることもあれば、仏教国で知られるタイでも独自の精霊信仰「ピー」と仏教が融合した信仰が存在している。世界的に見ても、よくあることなのだ。
とはいえ、現代では神と仏は分離して捉えられている。かつてはローカルタレントとして活動していた時期があっただけなのだ。
以上、神と仏の違い、神と仏の関係性を、ゆるキャラとアイドルでたとえて説明してきた。
そんな一大スペクタクルであったが、ふわっとその輪郭を掴んでもらえたんじゃないかと思う。
神はゆるキャラ、仏はアイドル。神社やお寺にお参りするときに、思い出していただければ嬉しいです。これをきっかけに色々勉強してみてください。
あとはこんな罰当たりな説明をしてしまって、落雷に打たれないように、気をつけて帰りたいと思います。ヒィ!