2019.9.15
仏教の「宗派」とは、中華料理の満腹セットである!!
日本には13種類の代表的な宗派セットがある
また、たまに『稲田さんって別宗派の僧侶と、バチバチな対立関係なんすか?』なんて聞かれることはあるが、現代においては全然そんなことはない。同じ仏教という傘の下、違う経典を読みつつも、お互いにリスペクトして、今じゃ「超宗派」といって宗派の垣根を超えて活動を共にすることも増えている。仏教の基本スタンスは調和。相手を否定することはナンセンスだ。
というわけで、現在、日本には13の代表的なセットが存在している。日本史の授業で聞いたことがある人もいるだろう。簡単に紹介しておこう。
たとえば、法相宗は『成唯識論』というお経の解釈本(『論』)を中心に、唯識というジャンルが書かれてあるお経をベースにした宗派。
浄土系の宗派は、『無量寿経』と『観無量寿経』と『阿弥陀経』の浄土三部経と呼ばれるお経に基づいて成り立っている。その解釈によって、4つの宗派に分かれているのだ。
禅系は少し違っていて、釈迦の言葉ではなく、実際に釈迦が悟りに到るまでに取った行動を大事にしようとする宗派で、「坐禅」に重きを置く。中華料理屋でたとえるなら、メニューから頼むのではなく、料理人の真似をして店内で自炊しちゃおうぜ!といった感じ。
以上、宗派とは何かである。少しでも理解のきっかけになれましたでしょうか。
今は多様性が尊ばれる時代。宗教とは言えないかもしれないが、様々な価値観のセットがインターネットを通して流布されていて、日々そうした情報に触れては心が揺れ動かされることも多々あるんじゃないだろうか。
『今は会社を辞めてフリーランスになった方がいいのかぁ』
『地方に移住することが正義だ! 都会は悪だ!』
最近増えたなぁと感じるのは、そうした時代の価値観に無自覚で流されてしまっている人たちだ。流されることが悪いとは言わないが、他人の思想のアジテーションに無自覚で刺激を受けていることは危険だと僕は思う。
今、自分が何を信仰しているのか。どんな価値観を大事にしているのか。これから先、このスタイルが向かう場所はどこなのか。
自分自身の「生きる物語」を客観視する上では、こうした既存宗教、その中でも長い年月をかけて変遷してきた宗派の思想を教養として学ぶことには意義がある。
時代に飲まれず、時代をつまみ食いするくらいのスタンスを、仏教の歴史から学んでみてはいかがでしょうか。