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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

カメラ好きおじさん泣かせの最高サコッシュ、見つけちゃいました

おしゃれ文具屋さんの店頭で見つけたとき、小さく「うわ。やめて。ズルい」と呻いてしまった。
税込17,600円と、サコッシュにしては結構なお値段なのに、無抵抗状態になった僕はフラフラとレジへ……。
説明しよう!
これは、かのビリンガム社のサコッシュなのである。

ビリンガムとは、イギリスのバーミンガムに拠点を置く1973年創業のカメラバッグメーカー。
英国伝統のスタイルと先進的な機能性を併せ持つエレガントなカメラバッグは、カメラ好きの間では一目置かれる存在で、圧倒的な品質と格調の高さから“カメラバッグ界のロールスロイス”とも称されるブランドなのだ。

カメラ好きの僕はここのカメラバッグをひとつ持っていて、長年大切に使っていることを前に本コラムで書いた。
ただしそれはあくまでカメラ用なので、出場機会は多くない。
でも使うたびに「ああ、やっぱり最高だ」とウットリしてしまうような代物なのだ。

そ、そのビリンガムが、こ、こんな、普段使いしやすいシンプルなサコッシュを出していたなんて。
あきらかに、僕のような類のおっさんを狙ったこの商品。
そんなん買うに決まってるじゃないか。
ったく。ズルいったらありゃしない。

高いよ。サコッシュとしてはそりゃ高いけど、ここまでされたら買うしかない

A4よりやや小ぶりなサイズで、マチ幅がないこのサコッシュ。
それほど色々なものが詰め込めるようなバッグではない。
iPadと本を一冊、それにiPhoneや財布、アイコスなどを入れるともう満員だ。
でも、もともと手ぶら好きで、出かけるときの荷物が多くはない僕のような人にとっては、衣服のポケットが少ない夏場の外出に最適なのだ。

何よりもいいのは、ボディの生地やパイピング、スナップボタン、ショルダーストラップと金具などのディテールが、カメラバッグとまったく同じであること。
ビリンガムのカメラバッグを持っている人も、「いいなあ」とは思いつつまだ持っていない人も、この質感にはきっとやられるはず。
僕なんか嬉しくて、買った日には家で撫で回しちゃったくらいだ。
カメラバッグじゃないからとメーカーが手を抜き、別素材を使っていたりしたら、きっとこんなに惚れ込まなかったし買わずに済んだだろうな。

しかしカメラバッグといえば一般的に、重視されるのはそうした質感より機能性。
ビリンガムのカメラバッグは機能性も抜群だが、このサコッシュはどうだろう? 
シンプルなアイテムだけに、持ち前の機能性を発揮できる点は少ないんじゃないかな?
と、思うでしょ!

やっぱりそこはさすがのビリンガム。
内部構造にその片鱗をうかがわせるディテールがあった。
小物を入れるポケットが取り外せて、単独でポーチとしても使える構造になっているのだ。

そのポーチにもブランド名を刺繍した織りネームが付けられ、ファスナーの持ち手は重厚感のある金具。
もう、ホントに素敵!

いい買い物をしちまったぜ。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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