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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

今さらながらのマイブーム。在宅ワークにはサルエルパンツが最高!

トレンドとは分からぬもので、思いもよらぬファッションアイテムが、あるシーズンから急に流行ることがある。
かつて男子の間でも女子の間でも大人気だったサルエルパンツなど、その最たるものだ。

ご存知のようにサルエルとは、膝上がゆったりと太く、股下の布が大きく垂れ下がった形状のパンツ。
もともとはイスラム文化圏の民族衣装だが、1960〜70年代にヒッピーの間で広がったエスニックの流行とともに世界中で認知されるようになり、1977年にはパリコレに初登場。
以来、ファッションアイテムとして扱われるようになり、2002年頃から日本の若者の間でも大流行したのだった。

当時の僕は若者向け男性ファッション誌の編集長をしていたから、「サルエルパンツがトレンド!」なんて煽り気味に紹介していたけど、内心「なんだこりゃ」と思っていた。
お前はアラジンか、アラビアのロレンスか、はたまたMCハマーかと。
僕はアレを街中で穿くセンスは理解できなかったが、実は流行期に寝間着として買っていて、長年にわたり愛用している。

まったく締め付けがなくて風通しが良いので、快適そのもの

灼熱の砂漠地帯でも涼しく活動できるように発達したサルエルパンツは、あらゆる締め付けがなくて風通しがいい。
特に男性にとっては、座り姿勢だと窮屈になりがちな股間がボーンと広がっているので、至上の穿き心地。
どこもかしこもゆるゆるのこのパンツ、部屋着としては最高だと思うのだ。

日本全国の緊急事態宣言が解除された。
でもしばらくは警戒が続くので仕事もテレワーク優勢となり、自室で過ごす時間が長くなると予想される。
そうなると、これしかない。
サルエルパンツ再び! と一人で熱くなった僕は、エスニックショップのチャイハネで、新しい一本を買い求めた。

前から持っていたのは、薄い生地のいかにも部屋着っぽいパンツだったが、今回のものはややしっかりした生地。
穿いてみたらやはり快適そのもので、「やっぱ俺、サルエル好きなのかも!」と思った。
アラジンでもハマーでもいいから、今年は外出時も穿いてみよっかな。
微妙に流行っていないところも、ひねくれ根性の面倒臭いストリートおじさんにとってはちょうど良かったりするのだ。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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