2020.10.1
鮨道にゴールはなし! いま最も輝いているお鮨たちに、舌が歓喜の舞を踊り出す〜鮨 龍次郎
ご実家は中華料理屋さん。
なのに中学生からお鮨屋になるって心に決め、せめて高校だけは出て欲しいという親の願いを叶えてから縁のあった金沢のお鮨屋さんへ。
5年の修業を終え帰京、数店で勤めたのち「海味」の長野さんの薫陶を受けることになりました。
間違いなく長野さんの影響がいちばん大きかったと思うけれど、独立した今、龍次郎さんの“お鮨道”って何ですか? と問うと「ゴールがない」と返ってきました。
例えばお鮨で最も重要な酢飯。
「今のシャリはすごく自分の中でピッタリはまっていますが、これを安定させるのはまた別の話。同じお米で同じ水分量なのになぜか炊き上がりが違ってくる。安定して同じものが出せる、これが“極める”ってことかなと思います」と龍次郎さん。
ここまでに行き着くには試行錯誤があったのかと訊くと、今でも少しずつ変えていますとのこと。
このお店がオープンしたのは2019年11月、その時と今ではお米も変えたし、ガス釜から羽釜にも変えたそう。
「握っていると最後の方でシャリが重くなってくるんです。気になりながらもなかなか変えられなかったのですが、ある時、『このままじゃダメだ。変えよう』と営業しながら羽釜を慣らして、イケると思ったところで変えました」。
そういう時に頼るのは奥さま。
「店でお客さまとしてひと通り食べてもらってアドバイスをもらいます」とニッコリ。
理想の酢飯は口の中でパラリとほぐれること。
もう理想通りじゃないと言うと「いや、ほぐれ方はいいけどちょっとこう……、最後にパサつきも感じるというか。食べてもらっていてアレなんですけど」と大笑い。
私はパサつきなんてまったく感じないけど、極めるというのはこういうことなんでしょうね。