2020.3.5
場所すらよくわからない赤坂の紹介制レストランで北海道愛に満ちた極上の料理とワインを〜EZO
ひと品目は鴨。
脂がおいしい北海道産のチェリバレー種の合鴨を前田さんが塩抜きして冷蔵庫で乾燥熟成した生ハムと、フォアグラのテリーヌを自家製ブリオッシュでサンドしたものに上からトリュフを削りかけています。
生ハムはなめらかで味わい深く、甘みのあるブリオッシュがフォアグラの塩味と相まって、そりゃおいしいのなんのって!
これがまた最初のシャンパーニュに合うんです。
初っ端からやられました。
2品目は「ヤリイカ:春菊のタブレにプロヴァンサル風のマリネ」。
春菊と昆布の出汁をピューレにしてクスクスに吸わせ、上にはねっとりしたヤリイカにトマトフォンデュを和えたものをのせています。
れっきとしたフランス料理なのですが、和のエッセンスが顔を覗かせる。
これにはロゼを合わせていただきましたが、ロゼってこんなにおいしかったっけ? と思わされました。
それもそのはず。前田さん、メニューの考案はワインから始めるのだそうです。
ロゼってエビチリに合うな→旬なもの……、あ、ヤリイカがハシリだ! →チリソースの代わりにクミンを効かせたトマトフォンデュみたいなソースはどうだろう→これには遊び心にほろ苦さが欲しいな、春菊が良いかも!
……というようにワインに合わせて料理が完成されるのです。
なぜなら「以前は料理を作ってそれに合うワインを探したけどピノ・ノワールっていっても、国、産地、生産者、年代……、種類が多すぎて果てしないですよ。ワインは味を変えられないけれど料理はいくらでも変えられるから」ですって!
それは確かに理に適っていますよね。まさに目からウロコ‥‥
ということで、こちらはひと口で歓喜の雄叫びをあげてしまった蕪のスープです。
優しくてカラダの隅々まで沁み渡るような温かさ。
よく、これなら丼で食べられるとか言いますけど、本気でそう思いました。
中にはクリーミーな白子も大きなハマグリも入っていますが、それらは蕪の引き立て役になってしまうほど。
作り方を訊くと蕪を皮ごとバターを絡めながら蕪の水分だけで蒸すように火を入れていく。そこに昆布だしを少しずつ足して塩で味をつけ最後にミキサーにかけたそう。
「人間って、血中塩分濃度と同等のものが入るとホッとするんですよ。だから箸休め的な存在でコースの途中に入れました」と、前田さん。
ものすごい構成力です。