2019.8.1
台東区佐竹商店街に口コミだけで予約が取れないフレンチ出現 〜K.H. DOWNTOWN CUISINE〜
長谷川さんの料理に対するテーマはボキューズドールコンクールでアイデンティティー賞をいただいた時の課題でもある「日本文化を世界へ発信する」こと。
だからグラスには江戸切子、お箸は出雲百年煤竹箸、器は少しずつ買いためてきた和皿や漆器を使っています。
「ずっと白い洋皿を使っていたので、実は絵皿って苦手だったんですよ。和食を勉強したとはいえ、和皿はどこかしっくりこなかったんです。でもやっと思い通りに盛り付けできるようになってきました」と言うように、江戸時代から現代作家のものまであるさまざまな器が、表情豊かな長谷川さんの料理を支えているのです。
料理は5,000円、8,000円、10,000円のコース。
産地直送の食材ゆえ、内容は常に変わる。
さらに、同じ料理は出さない!を貫いています。
誰に何を出したかをデータに記録しているので食材は同じでもソースや調理法を変えて提供するそうです。嘘でしょ?って訊いたら、「サンス・エ・サヴールで経験済みです。1,000回くらい来店したお客さまがいらして、お互いメモしているので根気比べみたいでした(笑)」と。
こんなシェフ、なかなかいませんよ!
最大で8席、それが長谷川さんが納得のいくクオリティの料理を提供できる席数です。
こだわりは“ア・ラ・ミニッツ”(料理用語:作り置きせず出来立ての意味)。
だから、下ごしらえせず、野菜を切ることから始めます。
「あらかじめ切ったり湯むきしておいたら、おいしさはどんどん劣化します。すべてア・ラ・ミニッツでいけるのが8席なので、これ以上増やすことはないです」と。
前述したように予約時間もコース内容も自由で、一度出したものは出さない、しかもすべての工程をア・ラ・ミニッツでなんて、神業としか思えません。
「フランス料理を食べないお客さまに純粋においしいと言ってもらえると楽しくなります。反対に同業者だと緊張しますけど、それも楽しい。今、本当に楽しい!」と、満面の笑顔。
こんなことを言える長谷川さんのお店、どんなに素晴らしいかご理解いただけたかと思います。
2019年7月29日現在、9月までひとっつも席はございません! 8月5日10:00amから10月の予約を受け付けるそうですけど、午前中で埋まるでしょう。
「こんなに期待させて予約が取れないなんてひどいじゃないか」と、この記事を読まれた方の怒りは爆発寸前かもしれませんが、でもね、この店に訪れたらわかります。次回の予約を取らずには帰れないのです。とはいえ、ご新規さまには電話予約というチャンスがありますし、すでに予約を持っている方を捕まえるという技もございます。
なのでプラチナシートを勝ち取り、ぜひこの口福を味わってくださいと願うばかりです。