2019.6.13
胃も心も鷲掴みにされるセンス抜群・革新的フレンチ〜クラフタル
手間暇かかるフランス料理ですが、大土橋さんの皿には細かいパーツがたくさん入っていて食べてみるとどれだけ手が混んでいるかわかります。
「僕は人からの影響を受けやすいのです。他のシェフの料理を見てしまうとそれを忠実に作ろうとしてしまい、越えられなくなる。だから情報はできるだけ見ずに、出逢った食材を自分の感覚で解釈するようにしています。料理のプロセスは山ほど見ているので、あとは味をどうするか、食材をどうするかだけ。そうしてできあがった色彩と食感をコースの中にどう当てはめていくかを考えるのです」。
でもどんなに完璧な料理を作ったとしてもアレルギーなどで食材を変えなければならないことも。
そこはどれだけ自分の引き出しがあるかどうかなんですって。
訊けば訊くほど奥深く、クリエーターの頭の中を理解できないことがよ〜くわかります。
ロジックじゃないのよ、感覚なのよ、でもテクニックはロジカルであるわけで。
これって見た目は革新的だけど、大土橋さんの中では伝統的なフランス料理とリンクしているってことなのか?
こうやって書いていると分析するなんて意味のないことで、私にはおいしい記憶が残れば良いのだ、素直にどう感じたかで良いのだと思えてくる。
変わることを恐れない。
昔こうだったよね、でも今はこうだよね、その時点での大土橋さんの最高の料理がある、それを食べにここに来る、それが良いのだ。
最後にご紹介したいのが“本棚にある本”をイメージして作った「クラフタルオペラ」。
もうどんだけ人を喜ばせてくれるんですか。パッケージも味も素晴らしすぎます。あまり詳しく書くと手にした時の感動が薄れてしまうのでちょこっとだけ。
贈り物(たとえ自分にだったとしても)なので、チョコレートを食べたという満足感を重視して濃厚にしているそうで、最初はさほど感じなかった甘さが余韻となって長く続きます。
齧ってみてびっくりしたのが外側のサブレが割れたりポロポロ崩れず、ちゃんとチョコレートと一緒に口に入ってくること。そして手が汚れないこと。
構想2年、試作して1年。冷凍のまま、冷蔵庫で戻して、常温で、レンチンでと食べ方によって異なる味わいが楽しめる大土橋さんの渾身のオペラ、レストラン同様、本気でおすすめします。