2019.2.28
未訪を大後悔! 身も心も骨抜きにされるクリエイティブで正統な日本料理 〜日本料理 四四A2〜
お椀の後に私史上最強のふぐ料理が出たっ!
このお猪口の中にお刺身、白子、皮、煮こごり、と福島さんったらふぐのおいしいところをぜ〜んぶ入れちゃったのです。こんな「ふぐのお造り」見たことない! それらを一緒に食べたなら……、昇天!!!
あぁ、もう言葉にできない!
ライターである以上、絶対に言ってはいけないと怒られそうですが、本当にこの感動をどう伝えたら良いのかわかりません。
こちらの期待度はどんどん上がるのに、料理はさらに上をいく。
クライマックスに向けて、四四A2の世界に引き込まれていきます。
史上最強の「ふぐのお造り」の後にはトリュフがこんもりのった「リーキとグジの天ぷら」、鮮やかなグリーンの菜の花餡をかけた「タケノコのひろうす」と続き、焼物がやってきました。
羊です! 牛でも鴨でもなく羊です。
うっとりするロゼ色の羊ちゃん、あなたはどうしてそんなにおいしいの?
それはね、近火と遠火で交互に2時間、最後に強い藁火でさっと焼いたからだよ。
〆の土鍋ごはんはワカメとタケノコ。
なんとまぁるくて優しい味なんでしょうか。
ヤバい、3杯は確実にいける。
土鍋ごといただきますって言ったらドン引きされるよな。
私の胃袋もさすがにそこまで大きくはないのですが、そんな気持ちにさせられるのです。
デザートには定番の「クリームチーズプリン」。
果実ゼリーは季節ごとに変わります。
これにて美味なる時間は終了です。
料理人生20年、いろいろなジャンルを渡り歩いた福島さんだから、枠にとらわれない独創的な料理ができるのでしょう。
独創的な料理って、見かけだけ斬新で味はどうもね、ってことになりがちですが、そんなことは微塵も感じない。どんなことにも真摯に向き合い、とことんまで究めてきた人にしか与えられない“軸”がある。
クリエイティブな発想は福島さんが美大出身だからかも。
根っからのアーティストなのでしょうね。だから味にブレがなく、これだけ創造性に富んだ料理となるのです。
その料理を支えるのが奥さまである美智子さんの選ぶお酒と接客。
どんなにおいしい料理でもお酒が合わなかったり、心のないサービスだったりすると、おいしくなくなるもの。
ご安心ください、素晴らしいです!
独学っておっしゃっているけど勉強熱心だと推察します。
ペアリングも選ぶグラスも酒器もセンスが良い。
料理やお酒の説明は会話の邪魔をしない、訊いたことはすぐに答えられる。
お召しになっている着物も派手すぎず地味すぎず小物使いがとてもおしゃれ。
言葉遣いもサーヴも丁寧で細やかな配慮があるので、接客業はこのお店からでまだ3年っていうことにびっくりです。
おふたりがそれぞれの仕事をきっちりこなし、ご夫婦ならではの阿吽の呼吸からなる温かみと凛とした空気がこのお店には流れています。
神さま、仏さま、四四A2さま、こんなに素敵なお店に出逢えて私は本当に幸せです。