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鈴木涼美「アラサー女がそんなことで喜ぶと思うなよ」
めでたく30歳を過ぎた鈴木涼美がおくる「アラサー女性論」。30代になった女が失うものは? 得るものは? なにかが変わるのか? 時代を鋭く読み取る元セクシー女優にして社会学者の気鋭のコラム。

女の不幸、その戦犯は男か社会か恋愛か?〜me tooは株券ではない

AV関係者だからという理由もあるだろうけど、私のツイッターやインスタのアカウントにはたまに、というか、そこそこ定期的に、おちんちんの写真がDMで届く。

女は男の裸それ自体にはそれほど興味はない

別に自分の連絡先が書いてあるわけでもなく、私の個人情報や逆に間違った情報をばら撒くような様子もなく、極めて控え目に、奥ゆかしく、そっとちんこ写真だけが送られてくる。

別に嬉しくはない。

男の子が女風呂を覗いてみたいと思うようには、女は男の裸それ自体にそれほど興味はない。
よほど好きな人とか憧れの芸能人とか一目惚れするほどタイプだとか、或いはものすっごい変な形のちんちんだとか、刺青が刺青のレベルじゃないとか、奇想天外な体毛の生え方をしてるとか、むしろ体毛がピンクだとか、官僚なのに乳首にピアスしてるとか、そんくらいじゃなければ、裸体の男が目の前を通り過ぎても二度見もしないし感情が揺れ動いたり身体が反応したりしない。

だから別におちんぽメールを送られても、幸福な気分にしてもらっている、といった感謝の気持ちになることもないのだけど、だからといって傷つくかと言われるとそうでもなく、感情は簡単に言うとZEROである。

むしろ色々なアカウントから送られてくるリアルちんカメは、時に精一杯おおきく見せようとパイパンだったり、変な画角だったり、“粗”なそれをギンギンに勃たせていたりと、馬鹿馬鹿しいを通りこして結構甲斐甲斐しい。

そんな彼も、上司の機嫌をとるために好きでもないゴルフに付き合ったり、後輩の前で「いやーそれじゃだめなんだよキミィ」とかいって強がったり、奥さんから、偉そうにするならもっと稼いでこいと言われたり、息子とキャッチボールしながらちょっといいこと言っていたりするとすれば、もはや甲斐甲斐しいを通りこしてちょこっと神々しい。

ちんぽに感情は揺れ動かないが、お互い世知辛い世の中で踏ん張ってこーぜ、イエイイエイイエイ、とエールを送っている。

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鈴木涼美

すずき・すずみ●1983年東京都生まれ。作家、社会学者。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、東京大学大学院学際情報学府の修士課程修了。大学在学中からキャバクラ嬢として働きだし、20歳でAVデビュー、出演作は80本以上に及ぶ。2009年から日本経済新聞社に勤め、記者となるが、2014年に自主退職。女性、恋愛、セックスに関するエッセイやコラムを多数執筆。
公式Twitter → https://twitter.com/suzumixxx

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