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鈴木涼美「×××な男~酒と泪とオトコと美学」
○○○な女〜オンナはそれを我慢している」のアンサーソングともいうべき新連載は、気鋭の文筆家・鈴木涼美によるオンナ目線の男性論。とはいえ、ここで取り上げるのは現代を生きる「今」のオトコたちの生態事情。かつてはもてはやされた男性像が、かつては相手にもされなかった男性キャラが、令和の今、どんな進化・退化・変遷を遂げているのか? 冴え渡る涼美節・男性論に乞うご期待!

メンヘラ製造男~すこーし愛してながーく愛してはキツイ話

初夏にドラマ化もされた漫画『凪のお暇』の登場人物があまりに友人の追いかけてる男に似ているので読んでみなよ、とつい言ってしまったオンナは私だけじゃないはず。

この世には、一緒にいる時に最高に優しくて幸せな気分にさせてくれるのに、なぜか女をどんどん社会生活から脱落させてメンヘラ化させるタイプの男というのが溢れている。
そういった巧みな男が相当数いるという事実と、女の恋愛についての悩みを集めると必ず上位にランクインすることの1つに「愛してはくれるけど付き合ってくれない」があるというのは表裏一体で、大体そういうメンヘラ製造男1人に対して病んでいる女が5人くらいいる。

周囲から孤立してまで守りたい彼との関係もある

そういう男に引っかかることが厄介なのは、男女が相手を判断するにおいて一緒にいる時間というのを重要視してしまいがちだからで、一緒にいる時最高に楽しくて、相手は優しくて確実に大切にしてくれて、明かに自分のことを好いていてくれると確信すると、離れる理由がないからだ。
しかし一緒にいない時に、人に「彼氏いるの?」と言われてはっきり答えられなかったり、連絡がつきにくかったり、他の女の匂いがしたり、一緒にいたい時に一緒にいてくれなかったりするため、どんどん気持ちは不安で病んでいく。漠然とした不安というのは、かの芥川龍之介を自殺にまで追い込んだくらい人の心を蝕むもので、そんなものをもたらす男なんてもう捨てなよ、と周囲は言うが、自分だけしか知らない、自分と一緒にいる時の男は明らかに自分のことを好きで、なぜか自分はこんなに辛いのに、「みんな彼のことをわかってくれない」と周囲から孤立してまで彼との関係を守りだす

何も与えてくれない男はむしろ親切
何も与えてくれない男はむしろ親切

自分から容易にアクセスできないため、彼から連絡がきたら一切その機会を逃したくない、と最優先するようになり、不安の種を取り除こうと相手のSNSなどをくまなくチェックするようになり、彼のまわりにいる女の情報などを収集しだし、気づけば立派なストーカーのようになる。
 

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鈴木涼美

すずき・すずみ●1983年東京都生まれ。作家、社会学者。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、東京大学大学院学際情報学府の修士課程修了。大学在学中からキャバクラ嬢として働きだし、20歳でAVデビュー、出演作は80本以上に及ぶ。2009年から日本経済新聞社に勤め、記者となるが、2014年に自主退職。女性、恋愛、セックスに関するエッセイやコラムを多数執筆。
公式Twitter → https://twitter.com/suzumixxx

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