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発達障害女子の恋愛は「やらかし」だらけ!? 【漫画家・沖田✕華 & 姫野桂 対談】

「過集中」が仕事に生きる面も

姫野 発達障害の特性で、今困ってることありますか?

沖田 困ってること……アシスタントの給料の計算ができないことですね。
時給計算にしてるんですけど、全くわからないのでエクセルで毎月出してもらって払うんです。自己申告だと、ちょっとズルできるじゃないですか。
「あれ、なんかおかしい」っていうのがわかるときがあって、そのときに、私、共感能力っていうのか、なんか視界に色が入る癖があるんですよね。会話の端々にニコ動みたいな赤い矢印がばんばん入るときがあって。そのときには意味がわからないんだけど、一応記憶しといて、後で思い出したら、給料がちょっとおかしいのかもしれない、ちょっと答え合わせしようみたいな感じでやり直したりとかはしてます。
私、本当に「人を使う」っていうことを想定しないまま漫画家になってしまったので、どうしようって。アシスタントにこのことでめちゃくちゃ馬鹿にされたらどうしようってずっと悩んでました。ライターは基本、一人でされてるんですか。

姫野 基本一人ですけど、たまに文字起こしを外注することがあって、60分のインタビューを文字起こししてもらって、その計算が、1分幾らって決まっているんです。

沖田 そんな感じなんだ。

姫野 最初は60分でこの値段ってざっくりお願いしてたら、62分とかのときに、依頼した人から、62分なのでこの値段ですよねってちょっと高い金額を言われて、とっさに計算できなくてあれ?ってなったことがあって。今はちゃんと1分幾ら×何分って、計算機でやってます。最近は、性能のいい文字起こしアプリとか出てきたので、そっちに頼ったりしてますね。
あと日常生活では、本当に朝、起きられないのと、酒を飲み始めたら止まらないっていうのがあるんですよ……。

沖田 何時から飲んでますか?

姫野 彼の仕事が終わって夕飯済ませてからなんで、結構遅いんですよ。22時ぐらいから2時ぐらいまで飲んでます。

沖田 じゃあ、昔の私と一緒だ。大体、夜中に寝て、朝10時ぐらいに起きてました。
今は私、1年前に犬を飼い始めたので、飲む時間がすごい早くなってしまって、昼スタートなんですよね。11時半に回転寿司へ行って飲んで、帰ってきて、1時間昼寝して、起きて、ちょっと仕事して、そんで夜ご飯でまた飲んで、私は21時に就寝です、いつも。

姫野 早寝なんですね。桜壱さん(沖田さんの夫で、漫画家の桜壱バーゲンさん)は何時に寝るんですか。

沖田 だらだら飲む派なので……でも朝5時に起きて犬の散歩をしなきゃいけないんです。犬がめっちゃ起こしてくるので、1時は超えないです。12時半には寝てるっていう感じですかね。

姫野 うちも猫が朝4時にご飯くれって起こしてくるんですけど、でも必ず彼のほうを起こすんですよ。私が起きないのをわかってるので。

沖田 そう。うちも桜壱さんのほうを起こしてますよ。私、寝つきが悪いので、昼間に疲れてしょっちゅう横になってます。

姫野 私もそうです。すごく疲れちゃうんですよね。眠りが浅かったりとか、久しぶりに早く寝ようと思ってもあんまり寝れなかったりとかで。

沖田 頭はずっと起きてるんですよね。なんか「らんらんらん」みたいな感じで。いつになったらスイッチ切れるのかなみたいな。突然寝ちゃって、目が覚めたらトイレの中だったこともあります。

姫野 逆に仕事に生かせてると思う点ってありますか? 私、過集中の状態に入ったら、ぶわって原稿を書いて、それが3時間でぷつって切れるんですよ。3時間で切れて、寝るって感じです。沖田さんも過集中がありますよね。

沖田 締め切りが毎月決まってるので、もうルーティンだから、そろそろやろうかみたいな感じですね。で、ネームっていうマンガの下書きみたいなのがあるんですけど、それさえ通れば早いですね。私、描くのめっちゃ早いんで、6ページだったら2時間とかで上がりますね。

姫野 私も早いほうです。編集さんに書くのがすごい早いって言われます。だからこれまで締め切りを破ったことがないんです。

沖田 一緒です、私もない。

姫野 ADHDってすごいルーズみたいな印象を持たれがちですけど、仕事に関してはすごい真面目じゃないですか。

沖田 そうなんですよ!

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新刊紹介

姫野桂

ひめの・けい
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)、『生きづらさにまみれて』(晶文社)がある。

Twitter @himeno_kei

沖田✕華

おきた・ばっか
漫画家。1979年、富山県生まれ。高校卒業後、看護師として小児内科、美容整形外科などで勤務。その後、風俗嬢を経て漫画家の道へ。2008年、初の単行本『こんなアホでも幸せになりたい』(SUN MAGAZINE MOOK)を出版。『ニトロちゃん みんなと違う、発達障害の私』(光文社)以降、自身の発達障害を題材にした作品も発表。代表作に『蜃気楼家族』(幻冬舎文庫、全5巻)、『毎日やらかしてます。』シリーズ(ぶんか社、既刊7巻)、『透明なゆりかご 産婦人科医院看護師見習い日記』(講談社、全9巻)、『不浄を拭うひと』(ぶんか社、既刊3巻)、『お別れホスピタル』(小学館、既刊8巻)などがある。

Twitter @okita9393

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