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「矢沢あい展」でも大注目! 4刷決定『ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新』より「パンク」カルチャーをひも解く

パンクの誕生

 パンクはいつ、どこで生まれたのか? 諸説あるが、一九七〇年代中頃にアメリカで誕生し、少し後にイギリスへ渡ったというのが、一番多くの人が納得できる回答だろう。
 スタイルとしてのパンクは、音楽としてのパンク=パンクロックとの関係を無視することができない。グラムと同様、パンクは先鋭的なロックスターが扇動して発生したカルチャーなのだ。では、最初のパンクロックは何だったのかというと、一九六〇年代末のアメリカ、主にニューヨークで演奏されていたガレージロックが始点であると考えられる。
 一九六〇年代のザ・ビートルズやザ・ローリング・ストーンズ、ザ・フー、ザ・キンクスなどイギリス出身バンドのアメリカでの成功(ブリティッシュ・インヴェイジョンと呼ばれる)に影響を受け、自宅のガレージで練習をはじめたアメリカの若いアマチュアバンドの音楽がガレージロックである。

『ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新』より。©︎矢沢漫画制作所/集英社
『ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新』より。©︎矢沢漫画制作所/集英社

ニューヨークパンク

 ブリティッシュ・インヴェイジョンを経験して一九七〇年代に入ると、アメリカのロックビジネスはどんどん巨大化していった。メジャーシーンのミュージシャンは大作づくりを目指し、サウンド的にはイーグルスやリンダ・ロンシュタット、ジャクソン・ブラウン、ドゥービー・ブラザーズ、ロギンス・アンド・メッシーナなどのウェストコーストサウンドに代表される、爽やかで耳あたりの良いものが主流になっていく。
 そんな退屈な産業ロックに満足できず、初期の荒々しいロックンロールへ回帰しようという志向が強いガレージバンド群の中から、アンダーグラウンドシーンではあるが国中に名を馳せるグループやミュージシャンが出現し、やがてひとつの音楽ジャンルが形成されていった。
 すべてがガレージ出身ではないが、当時のシーンに含まれるのは、ザ・シーズ、ザ・スタンデルズ、ザ・ソニックス、フレイミン・グルーヴィーズ、ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドとそこから脱退したルー・リード、イギー・ポップ・アンド・ザ・ストゥージズ、MC5、パティ・スミス、ニューヨーク・ドールズ、テレヴィジョン、リチャード・ヘル、ザ・ハートブレイ カーズ、ブロンディ、トーキングヘッズ、そしてラモーンズなどである。
 彼らは、次第に薄められてきていたロック本来の激しいビートを前面に、強烈なエネルギーをぶつけるような荒々しいサウンドや、当時の聴衆にとっては奇怪とも思えるような、実験的要素に満ちたサウンドを打ち出した。ニューヨークを中心に活動した彼らは、レッグス・マクニールという音楽ジャーナリストによって、パンクという呼び名を与えられた。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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