2019.10.13
大手事務所トップたちが本音と育成戦略をぶっちゃけ!! 「私たちがほしいレースクイーン、いらないレースクイーン」
13年で2万人を超える面接で大手事務所に成長させた社長の手腕
もう一人、「ZENTsweeties」に今年加入したレースクイーン2年生がいる。福江菜々華さんだ。
もとはデザイナー志望で、たまたまスポットで一日だけレースクイーンを務めたことをきっかけに、あれよあれよという間に名門ユニット入り。いまだに夢のようだと語る。
「まさか、こんなわたしが、と思いましたね。ZENTsweetiesは雲の上の存在で、衣装を採寸してもらっているときに、ようやくこれは現実なんだと。そのくらい、憧れだったんです」
毎年、「ZENTsweeties」の競争倍率は高い。書類選考を通過したとしても、一次面接の時点で受験者は100人をこえることもザラ。そんな中、運よくメンバーに入ることが出来た福江さんも、当初は全く自信がなかったという。自分以外は華やかなメンバーたち。4月のSUPER GT開幕以降、いろんな意味で常に最下位だと思っていた。だが、7月のとある撮影会で、少しだけ自信が芽生えた。“集客率ゼロ=ビリ”だとあきらめていたところ、川村さんに次いで指名してくれるファンが集まったからだ。
「素直にうれしかったです。いつまでも気後れしてたらダメなんだと、スイッチが入りました。せっかくZENTsweetiesに入れたのに、引っ込み思案な自分の性格でチャンスをつぶしてしまったら、後で必ず後悔する……。なので、自分をアピールすること、以前にも増してリーダーのなっちゃん(川村さん)の姿勢も学ぶようになりました」
そんな彼女にさらにスイッチを入れたのが、8月に開催されたイベントでのこと。リーダーの川村さん、サブリーダーのチャナナ沙梨奈さんが不在となったため、急遽、代わりにリーダー役を担った。
「ずっと陰にかくれて、リーダーとサブリーダーに頼りっぱなしでしたけど、そこで責任感が芽生えました。自分も、もっと前に出なきゃって。同時に、メンバー6人のなかで、わたしはどういうポジションなのかって、あらためて考えました。そのとき、うちの社長に言われたことを、ふと思い出したんですよ。『福江さんは、そのままだと埋もれちゃいますよ。だったら、恵まれた体形をいかして、グラビアで勝負をかければいい。ZENTsweetiesのなかで、セクシー系の立ち位置でアピールできれば、突破口になる』と。そこからですよね、福江菜々華はこういうキャラクターだと、はっきり言えるようになったのは」
社長とは、福江さんが所属している芸能事務所「スリーライズ」の代表取締役の戸坂正人さん。日本レースクイーン大賞グランプリ、新人グランプリともに受賞回数はトップ、今年のSUPER GTには所属するレースクイーンを20人送り込み、これまた事務所間では最多を誇っている大手事務所だ。
入所希望者とは、フェイス・トゥ・フェイスで丹念に面接。入所後、SUPER GTレースクイーンのオーディション期間にさしかかると、受験生に対して、自身のキャラクターの見極め方、各ユニットのレースクイーン採用試験の傾向と対策をみっちり指南する。ちなみに、面接した人数は、創業以来13年間でゆうに2万人をこえるとか!
今や、人気レースクイーンを数多く輩出する大手事務所となったが、立ち上げ当初は全くゼロからのスタートだった。
「ぼくはパチンコ会社出身で、モータースポーツや芸能の世界に、全然コネクションがなかったんですよ。会社には自分だけ。立ち上げから1年ぐらいは、ひとりで一件ずつスポンサー企業に電話をかけ続けて、ネットでもつながりをひたすら探していました。ようやく、自社からのSUPER GTレースクイーン・デビューにこぎつけたのは、07年になってから。その年はたった1名でした。翌年から2人、次の年に4人と、徐々に増えていったんです」