2021.9.29
2000万超えの借金を背負った作家・借金玉さんが「100万円でチョウザメを買う」理由
凡庸な体験の積み重ねから非凡な作家に
「動く」、「楽しむ」というポリシーは、現在の作家としての活動にも通じるところがあるかもしれません。
僕は、貿易とか不動産とかいろんな仕事をして失敗も成功もしてきましたが、最終的には作家でありたいと思っています。
弟は宇野朴人という名前で活動している作家で、作品がアニメ化されたりもしています。
僕も本当は文芸の世界にずっと憧れがあって、小説家になりたかったのですが、弟のようにゼロからイメージの世界で物語を作る才能がありませんでした。弟は、身内ながらイメージの天才です。彼の作品はスケールが大きく、実在しない異世界の話なのに世界観の細部まで本当によく練られています。
「兄より優れた弟などいてはいけない。兄だってできるはずだ!」と10年くらい叫び続けてもできなかったので(笑)、じゃあ同じ作家でも違うルートでいくかと腹を決めたのが今です。
イメージ力の代わりに僕が作家として大切にしているのは「やってみたらできた」という体験。
僕の本を読んでくださった方はわかると思うのですが、僕が書いていることって、「朝起きる方法」とか、一つひとつは本当に凡庸なことばかりです。
でも、発達障害の僕が「やってみたらできたこと」をまとめて本にすることで、ライフハック術として多くの方に届けることができました。
カラスミ作りだってそうです。市場でボラ子を買うとか、塩に漬けるとか、点と点は何もたいそうなことはしていません。でも、それを線で繋げた時に、「俺よりうまいカラスミを作れるものなら作ってみろ!」と言えるほどのものができた……ような気もしています。
「凡庸なことだって積み重ねていけば結果は出るんだ。じゃあやってみよう!」というのが、原動力になっています。
弟のようなイメージ力がないぶん、無理やり体験と行動で補おうとしているわけです。
「俺には異世界の話は書けない。でも弟よ、お前だって、ロシア人からチョウザメを買い付ける体験談なんて書けないだろう」と。
僕の人生の目指すところは、手と足を動かして、地道でもいいから結果を出すこと。そして、作家としていい文章を書くことです。
カラスミに続き、キャビア作りを極めて、「おいしいキャビアの作り方」の記事でもGoogle検索1位を獲得したいと思っています。