2021.2.28
キックボード流行の端緒を開いた(かもしれない)一台を持っている件について
このコラムを書いたあと、件のキックボードは盗まれてしまった。人の大事な思い出の品に何しやがる! 天罰くだれ!
1990年代後半、日本の若者の間でにわかに流行したキックボード(正確には“キックボード”とはあるメーカーが商標登録している三輪式のもので、一般名称は“キックスケーター”だけど、ややこしいので本コラムでは通りのいい“キックボード”とします)。
僕は、この流行のはじまりをよく知っている。
当時、男性ファッション誌「smart」の編集者をやっていた僕は、担当していた新製品コーナーで、日本上陸直後だったRazor社のキックボードを紹介している。
子供の頃に流行したローラースルーゴーゴーに似ているけど、もっとソリッドでかっこいいキックボード。初めて見た瞬間から流行りそうだと思ったし、自分でも欲しくなったので、撮影したものを買い取っていち早く乗りはじめた。
その掲載号が発売されてまもなく、原宿でキックボードに乗る人を見かけるようになり、あれよという間にブームとなった。
ほぼ同時期に他のメディアも扱っていたとは思うけど、なんとなく自分が紹介したから流行ったという手応えを感じていた。
当時のsmartは、原宿に集う若者に対して強い影響力を持つ雑誌だったのだ。