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川村エミコ「わたしもかわいく生まれたかったな」
お笑いコンビ「たんぽぽ」の川村エミコが、不幸な星のもとに生まれてしまったばっかりに、
ちょっと生きづらく、でもどこかほっこりするような日々を、つらつらと書いていきます。
前回は、川村さんの心配症なお父さん、才気あふれるお母さんへの温かいメッセージが綴られました。
今回は、小学生の川村さんに訪れた「未知との遭遇」エピソードが明かされます。

猫と「猫ばばあ」さんと私

 横浜市で小さな一軒家に住んでいた頃、道に面していない側の斜め後ろに2階建ての黒いペンキが塗られた外階段のアパートがありました。その黒いペンキは年季が入っていてぺりぺりと剥がれて来ていて、うちの敷地との境にもその黒いペンキで塗られた柵があったのですが、ぺりぺりがどのくらいぺりぺりとなって行くのかが気になって、学校から帰ると一度見に行く時間を作っていました。うちの柵も同じような黒いペンキで塗られていて、ぺりぺり剥がれるものだったので、自分の家の黒い柵とアパートの黒い柵の剥がれ方を確認していました。ぺりぺりパトロールです。

 その頃小学校で歯の検診があって、「1番スラッシュ、2.3.4スラッシュ、5番Cゼロ、6番マル、7番マル」みたいなのを言うのが超絶カッコいいとトキメキまして、それにハマっていまして、ぺりぺりパトロールでぺりぺりチェックをするのですが、細い小枝を持って、意味も分からず、「1.2.マル、3番スラッシュ、4.5.Cゼロ、そのあと、マルサンカクシカク。」とか適当に診断するのが好きでした。ぺりぺりパトロールのぺりぺり検診です。

 学校から帰ってしていたこととしては、手洗いうがいをした後、ランドセルを2階の部屋に置きに行き、その部屋からベランダが繋がっていたのですが、ベランダで1ストーリー分のおままごとをします。「イチオママゴトやーろうっ!」っていつも心の中がルンルンして、ベランダにこっそりと出て、濃い目のピンクや薄い黄色やオレンジのプラスチックのお碗やお皿をベランダのハンガーやらが仕舞ってある小さな木のガラガラ棚から出して、いざ! ままごと!
 川村家にて楽しかったシチュエーションから始まります。

 母がある日「ごめん。今日家にラーメン一人前しかないわ。」と言って、お昼にラーメンを一人前だけ作ってくれたことがあります。その時お家にいたのは、お母さんとお父さんと私。     
 私はお鍋を取り分けて食べる時に使う浅めで小さめの器、お父さんはお茶碗より少し大きめの子どんぶりの器。お母さんはラーメンの器そのまま。お母さんが二人に取り分けてくれたのですが、なかなか均等に分けられなくて、お父さんは「そんなにいらない。いらない。」と言って遠慮なのか本気なのか、かなり偏った分け方で3人でチュルチュル食べました。
 なぜ一人分のラーメンしか無かったのか聞きませんでしたが、お金が無かったとかではなく、母は働いていた時期だったので、単純に食材を買いに行ける時間に手が空かず、家にラーメンしかなかったんじゃないかな。と思っておりました。真相は分からないです。
 で、その3人でチュルチュルがとっても楽しかったのです。何があったって訳でもないけれど、楽しかったのです。週末のお昼。何月かは覚えていないのだけど、風が少しだけ吹く気持ちのよい晴れの日でした。

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川村エミコ

かわむら・えみこ●1979年神奈川県生まれ。お笑いコンビ『たんぽぽ』のボケ担当。主な出演作品に日本テレビ『世界の果てまでイッテQ!』、フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』、東海テレビ『スイッチ!』など。
オフィシャルブログ→https://ameblo.jp/sienne04
Twitter→https://twitter.com/kawamura_emiko
YouTubeおかっぱちゃんねる川村エミコ公式動画館→https://www.youtube.com/channel/UCGkqb7PyCVGojtVkAOL58Bg

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