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川村エミコ「わたしもかわいく生まれたかったな」

川村エミコが小学生の時に受けさせられた「お友達の試験」

 学校が終わり、Sちゃんにドキドキしながらついていくと、着いた場所はSちゃんのおばあちゃんのお家。小学2年生の身長の倍くらいの塀が一周をかこう大きな一軒家で、アリクモ探検隊の試験はその塀の周りを走るところから始まりました。
 [友達になるには体力が必要]……7歳のわたしの中には無かったです。Sちゃんのお家の周りを5周走りました。走っている途中何の疑問も無く、ひたすらSちゃんと友達になるんだ!と信じて走りました。

 5周走り終わると、SちゃんとF君がいわゆる一軒家の木目調の立派な玄関前の段差に座り、「次はアリをおびき寄せる試験をやります。」と言いました。
 角砂糖を渡され、私が置いた角砂糖にアリが寄ってくれば合格です。時間との勝負です。
 体内時計だと20分もしないうちにアリが列をなしました。第二次試験も合格です。

 そして、最後の試験が自分の倍もある塀に登り塀の上を歩き、池の手前にあるゴム毬程の大きさの石の上に木の板を置いた簡易的なジャンプ台にジャンプして、1メートル30センチ程の鯉のいる池を飛び超えるというものでした。
 塀の上を歩くのに脇汗びっしょりになりながら5分以上掛かり、いよいよジャンプポジションへ。
 ジャンプ台だって言ったって、ただの木の板です。
 子供ながらに思いました。飛び降りたあと、必要なのは脚力だ!と。ただの脚力だ!と。

 飛ぶのにも何分も躊躇ちゅうちょしましたが、友達が欲しいという気持ちで自分を奮い立たせ、「エイっ!」と飛んだのを覚えています。今でもスローの映像で出てきます。Sちゃんのおばあちゃんの家の庭の椿の木とよくあるお庭の草木、よく分からない赤と紫色と白の花、泳ぐ鯉……。
 ゆっくりゆっくりと近づき、下り立ったのは池の淵に並んで埋まっていた石の方、前のめりでドンっとその石に下り、勢いのまま鯉の池へジャバン!と落ちました。
 パンツまでグッショリになり、友達試験は不合格。「お友達は無理です。」と言われ、帰ることになりました。
 とぼとぼ帰ったのかダッシュで帰ったのか覚えていないです。雨の後の生温い風が吹いていて「気持ち悪いなぁ。」と思ったのは覚えています。
 小学2年のある日、私は友達作りに失敗しました。

※次回更新は2020年1月15日(水)の予定です。

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川村エミコ

かわむら・えみこ●1979年神奈川県生まれ。お笑いコンビ『たんぽぽ』のボケ担当。主な出演作品に日本テレビ『世界の果てまでイッテQ!』、フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』、東海テレビ『スイッチ!』など。
オフィシャルブログ→https://ameblo.jp/sienne04
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YouTubeおかっぱちゃんねる川村エミコ公式動画館→https://www.youtube.com/channel/UCGkqb7PyCVGojtVkAOL58Bg

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