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桑田真澄の似顔絵に、いくつホクロを描くのが適当なのだろうか〜桑田真澄(プロ野球コーチ)

漫画家たちが桑田のホクロをややオーバーに描くことで表現したかったもの

たとえば河合じゅんじ『かっとばせ!キヨハラくん』に登場する、桑田をモデルとした「東京カイアンツのクワタマスミ」は、左あごに大きなホクロが1つ描かれている。石ノ森章太郎原作のアニメ『ミラクルジャイアンツ童夢くん』では、主人公の小学生投手・新城童夢の良きアドバイザー役で登場する「桑田真澄」のホクロは左あごに加えて右目下、右ほおの計3つである。凄まじかったのが、はた山ハッチ(やくみつるの別名義)『パロ野球ニュース』等の4コマに登場する桑田であり、顔全体に点描のようにホクロがちりばめられていた。

こうした「描かれる桑田のホクロ」は、「何となく内向的っぽい」「何を考えているか分からない」といった、当時の桑田に貼られたレッテルの象徴だったのではなかったか。登板時、ボールに向かって何かを呟く姿は、80年代当時は「ネクラ」と表現されたこともあった。

現在、こうした桑田のイメージは払拭されつつある。現役時代、ボールに向かって呟いていたのも、「反省点を言葉に出してより明確にし、自分に言い聞かせ」るための投球術であったと桑田自身が語っている(桑田真澄『東大と野球部と私』)。引退後、早大大学院や東大大学院で野球理論を学び、科学的理論に基づいた野球指導や解説を行う桑田の姿は、「ネクラ」ではなく「落ち着き」という表現がふさわしい。

そんな中、桑田が巨人一軍投手チーフコーチ補佐に就任するというニュースが報じられた。実に15年ぶりの巨人復帰である。
桑田が手腕を発揮して巨人の投手陣が大活躍するとなると、カープファンとしては心中複雑だが、コーチとしてどのような言動をするのか注目していきたい。それと同時に、桑田コーチの似顔絵にはホクロはいくつ描かれることになるのかも気になるところである。

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新刊紹介

オギリマサホ

1976年東京都出身。イラストレーターとしてシュールな人物画を中心に雑誌や書籍などで活躍。中学1年までは巨人ファンだったのが、中2のときに投手王国・広島カープに魅せられ、広島ファンに転向。そのカープ愛が炸裂するイラストエッセイ『斜め下からカープ論』を刊行。野球のみならず、広くスポーツ界を愛している。
Twitter@ogirim

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