2021.1.5
顔より先にポーズが思い浮かぶ人、五郎丸歩の引退によせて〜五郎丸歩(ラグビー選手)
全国に瞬く間に浸透したあの「ポーズ」
ある人を思い浮かべる時、その人の顔より先にポーズが思い浮かんでしまうことがある。
たとえばお笑いタレント・ゴルゴ松本を思い浮かべようとすると、顔より先に「命!」のポーズが思い浮かぶといった具合だ。それは失礼なことかも知れないけれど、同時にそのポーズが多くの人に浸透しているということの証でもある。
そうした「ポーズ」を持つスポーツ選手の代表格が、ラグビー元日本代表FBの五郎丸歩ではないだろうか。
キックの前に体を屈め、胸の前で両手を組んだ五郎丸の姿が注目されるようになったのは、今から6年前、2015年にイングランドで開催されたラグビーワールドカップであった。日本代表は1次リーグで強豪・南アフリカを破って24年ぶりのワールドカップ勝利を果たすと、その後サモア、アメリカにも勝利して3勝を挙げた。勝ち点の差で決勝トーナメント進出こそ叶わなかったが、多くの人がラグビーに注目するようになり、その中でも特に合計58得点を挙げて活躍した五郎丸の「ポーズ」が取り上げられるようになったのである。
このポーズは瞬く間に世間に浸透した。
子どもたちはこぞって「五郎丸ポーズ」を真似し、「五郎丸と顔が似ている」と話題になったスピードワゴン・井戸田潤はこのポーズを持ちネタの一つにした。両手を組む際に人差し指を立てる姿が、まるで印を結ぶ忍者のようでもあるとして、日本忍者協議会が五郎丸に対して「マスター・オブ・ニンジャ」の称号を授与したことも報じられた。果ては2015年の新語・流行語大賞に「五郎丸ポーズ」がノミネートされることとなったのである。