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今こそ修造マインドで、冷え込んだ世の中を乗り切りたい〜松岡修造(元プロテニス選手・現スポーツキャスター)

その笑顔、悲哀、時として怒号‥‥修造の表情に演出や嘘偽りはゼロだ
その笑顔、悲哀、時として怒号‥‥修造の表情に演出や嘘偽りはゼロだ

ところで松岡修造は、「熱血キャラ」を演じているのだろうか。

むろん意識して熱い発言をしたり表情を作ったりする場面もあるだろうが、その言動は選手時代の苦労や努力に裏打ちされたもののように思う。その修造力が大いに発揮されるのは、「頑張っている人を応援する」時だ。

2011年の世界水泳の解説時、自らクロールの手真似をして必死に応援する修造の姿が、イタリアのテレビ局から放映された。選手の気持ちを汲み取り、感情移入して喜んだり悲しんだりする修造の「熱血」、それは「応援力」だ。
修造自身もインタビューで、オリンピック出場時に他競技の選手の応援をした経験を通して「僕はテニスをする才能より、選手たちを応援する才能のほうがあるということに気づかせてくれた」(日本オリンピアンズ協会HP)と語っている。修造が東京オリンピックの「日本代表選手団公式応援団長」に任命されたのも、まさに適任中の適任といった感じである。

しかし、果たして東京オリンピックまでに新型コロナの蔓延は終息するのだろうか。
当初「夏になって気温が上がればおさまる」といった説や、果ては「お湯を飲めば予防になる」といった根拠のないデマが広がったが、いずれも否定されている。ウイルスに「熱」では対抗できないということなのか。
更に先日行われたNPBとJリーグによる「新型コロナウイルス対策連絡会議」では、ジェット風船や大人数でタオルを回したり飛んだりする応援スタイルが「感染リスクを高める」と提言された。「応援」にも規制が入ることになろうとは、一年前、いや一か月前の我々の誰も予想していなかったに違いない。

だがしかし今こそ我々に必要なのはその修造力なのではないか

今回の事態に修造的「熱血」「応援」は効果がないのだろうか、と落胆して松岡修造の公式ホームページを覗けば、「くいしん坊!万才」(フジテレビ系)の出演回数が、今年の3月8日放送回で1000回を迎えたという情報が掲載されていた。「くいしん坊〜」といえば梅宮辰夫や村野武範のイメージが強いが、実は11代目の松岡修造が20年間で1000回の出演と、最も長く務めている。
修造的「熱血」は「くいしん坊」という形でも、20年の時をかけて我々の内に浸透していたのである。

今の我々ができること、それは各自の予防に努めながら、内面化された修造マインドをフルに活用し、「苦しい時ほど、笑ってごらん」という満面の修造スマイルを思い出すことぐらいなのかもしれない。

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オギリマサホ

1976年東京都出身。イラストレーターとしてシュールな人物画を中心に雑誌や書籍などで活躍。中学1年までは巨人ファンだったのが、中2のときに投手王国・広島カープに魅せられ、広島ファンに転向。そのカープ愛が炸裂するイラストエッセイ『斜め下からカープ論』を刊行。野球のみならず、広くスポーツ界を愛している。
Twitter@ogirim

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