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延期となった東京オリンピックで、80歳の法華津の活躍をぜひ見てみたい〜法華津寛(馬術選手)

広島カープを、プロ野球を、いやいやスポーツ界をこよなく愛するイラストレーター、オギリマサホ。その愛ゆえか、職業柄か、なんだか気になる、なんとも魅かれる、スポーツ選手たちの顔、顔、顔……見渡せばスポーツ界にはイケてる顔面が大豊作。愛すべきその面々、ちょっと斜め下から分析しちゃいます!
1941年東京都出身。日本の馬術選手、実業家。 12歳の時にサマーキャンプで馬に乗ったのをきっかけに乗馬クラブに加入し、学生時代から選手として数々の大会に出場した。1964年東京オリンピックに出場し、障害飛越個人40位、同団体12位。
その後外資系製薬会社に勤務、社長に就任し、2002年に定年退職する。35歳のとき馬場馬術に転向するも、1984年ロサンゼルスオリンピックではまさに「ホケツ(補欠)」で終わる。1988年ソウルオリンピックでは出場権を確保したものの、乗馬ザズーが出国検疫を通らず出場を断念。
定年退職後にオリンピック再挑戦を決意し、翌2003年から単身ドイツへと馬術留学する。2008年北京オリンピックではウィスパー号とペアを組み馬場馬術団体、同個人で出場した。日本選手としては史上最高齢(67歳)での出場、44年ぶりの出場も史上最長記録となった。また、北京オリンピックに出場した全選手中でも最高齢であった。馬場馬術個人は1次予選落ちとなり、団体では9位。
史上最高齢となる出場に関してのコメント「国際大会である程度活躍する事によって同年代のじいさんの励みになれば、これほど嬉しい事はないでしょう」というのも実にジェントルである。

東京オリンピック・パラリンピックの「1年程度の延期」が決まった。

新型コロナウイルスの感染が世界中で広まっている凄惨な現状を見れば、仕方のない決定なのかもしれない。
しかし、今夏に照準を合わせてトレーニングを積み重ねてきたアスリートにとってみれば、1年の差というものは非常に大きなものであることは想像に難くない。出場資格が原則23歳以下である男子サッカーはもちろんのこと、たとえ年齢制限がない競技であっても、年齢を重ねることがマイナスに働くケースもあるだろう。

この東京オリンピック開催延期の知らせを聞いて、私がまず真っ先に思い浮かべたのが馬場馬術・法華津寛の顔であった。
まだ代表に決まったわけではなかったが、今年1月に日本馬術連盟が発表した「東京オリンピック出場意思表明人馬リスト」には、法華津と愛馬ザズーの名前が載っていた。すなわち、法華津は東京オリンピックに出場するべく準備を重ねていたわけだ。  

馬術という何となくセレブなイメージの競技、慶大卒で外資系医薬品会社の社長を務めていたという華々しい経歴、品のある顔立ちに珍しい名字。
法華津のイメージは「アスリート」というよりも「老紳士」といった印象である。
思えば1964年、前回の東京オリンピックに出場し、2012年の北京オリンピック出場時には既に「日本人最高齢出場選手」と言われていた法華津。いったい今何歳なのだろう……と調べてみると、今年3月28日で79歳になったという。

「79歳での出場」と「80歳での出場」。
これほどまでに1年という月日が重い選手が他にいるだろうか。

馬術という競技から醸し出されるハイソなイメージだけでなく、そのたたずまいもジェントルマンそのもの
馬術という競技から醸し出されるハイソなイメージだけでなく、そのたたずまいもジェントルマンそのもの
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オギリマサホ

1976年東京都出身。イラストレーターとしてシュールな人物画を中心に雑誌や書籍などで活躍。中学1年までは巨人ファンだったのが、中2のときに投手王国・広島カープに魅せられ、広島ファンに転向。そのカープ愛が炸裂するイラストエッセイ『斜め下からカープ論』を刊行。野球のみならず、広くスポーツ界を愛している。
Twitter@ogirim

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