2019.6.19
令和になっても大ペット時代!6月12日に成立した「動物愛護管理法」はどうなった?
動物愛護管理法のきっかけは昭和天皇とエリザベス女王
現在の動物愛護管理法のベースとなっているのは、1973年に制定された「動物の保護及び管理に関する法律」です。当時は昭和天皇がイギリスを訪問、またイギリスのエリザベス女王の来日があった頃で、この制定には動物福祉の進んだイギリスの影響がありました。かさねて捕鯨問題などで外国からバッシングされていた状況を取り繕う目的や、欧米の先進諸国の動物愛護の意識に追いつくためでもあったようです。
日本では動物の扱いが良くない時代もありましたが、長年にわたって共生してきた歴史があるのも事実です。かの豊臣秀吉が「人を手助けする動物もいる。殺生を控えるべきだ」と主張し、「神は人と動物を区別する」と言う宣教師とは相容れなかったという逸話が残っているほど。江戸時代にペリー提督の来日で結ばれた日米和親条約付録には、「日本では鳥獣の狩猟を禁じているのでアメリカ人も守るように」という文言が加えられています。
改正の注目は8週齢規制!日本犬が除外された理由
かねて有識者や動物愛護団体から改正の希望が強かったのは、犬猫の販売を禁止する時期を生後7週齢(49日)以下から生後8週齢(56日)以下にすること!さまざまな物事に触れて学ぶ時期である「社会化期」は、犬が3〜12週齢、猫が2〜7週齢と考えられていて、この時期に母犬や兄弟犬と過ごすことが重要と言われています。科学的にも7週齢と8週齢で親元から離した犬を成長後に比較すると、噛みつきや怖がりなどの問題行動に差が出ることが指摘されています。その一方、差が出るかどうかは解釈の違いという声も上がっているため、この点に関してはまだまだ今後の課題と言えるでしょう。
予想外だったのは、改正の直前の5月下旬になって突然「日本犬6犬種(柴犬・秋田犬・甲斐犬・紀州犬・四国犬・北海道犬)を8週齢規制から除外する」という事項が付け加えられたことです。甲斐犬と暮らす筆者は、他の犬種に比べて社会化期が短いと言われる日本犬が、早めに飼い主のもとへ行かれるように配慮してもらえたのかな?と思っていました。実際の理由としては「天然記念物を守る」と発表されたため、反発も大きいようです。日本犬のみでよいのか、根拠が必要でしょう。
我が家の甲斐犬は2頭とも7週齢で母犬から離れ、他の犬たちと1週間遊んで育ち、8週齢で筆者のところへ来ました。親元で学ぶことはたくさんありますが、人間社会で暮らすために身につけなければいけないこともたくさんありますよね。実は甲斐犬の犬舎を営む方から「甲斐犬は生後2カ月以内に主人を決めるから早く引き取るほうがいい」と言われたことがあります。長年の経験で社会化期の重要性をわかっていたのかもしれません。
装着が義務付けられたマイクロチップとは?
有識者からマイクロチップの義務化も提案されていました。マイクロチップとは、直径約2mm、長さ約10mmの電子標識器具で、注入器で動物の体内に埋め込んで使います。記録されている15桁の識別番号を専用リーダーで読み取ると、飼い主や犬の情報を見ることができるので、迷子になった時に「どの子か」がすぐにわかるという利点があります。
また、ペットショップなどが販売する犬猫へマイクロチップ装着を義務付けることで、販売業者や飼い主の無責任な飼育放棄を防ぐ目的があります。飼い主に対しては努力義務ですが、災害時に首輪がはずれてしまったとしても戻ってくる確率を増やす手助けになりますね!