よみタイ

鈴木涼美「○○○な女~オンナはそれを我慢している」
よみタイでの大好評連載「アラサー女がそんなことで喜ぶと思うなよ」(書籍好評発売中)を終えた鈴木涼美の次なるフェーズは、オンナ目線の女性論。ふと見渡せば、耳に目につく、いろんなタイプ・○○○な女たち。女の敵は女じゃないけど、ちょっとどうなの、それでいいの、な現代女性像を浮き彫りに。

ノリの良い女〜サービス精神旺盛なヤリマンのその後の話

比較的初期の漫画『ウシジマくん』で、映画にもなった象徴的なストーリーの1つに、ギャルサーの代表を務めているにしてはややトウのたった年齢の男の話がある。
「さすが!やるじゃん」「やっぱマルマル君いないと始まらないよ」という言葉に踊らされ、期待に応えなくてはという勝手な使命感で借金が増えてしまう。

或いは漫画『クローズ』の終盤に出てくる卍というチームの代表になり損ねた男もやはり、「さすがマルマルさんっすよ」「マルマルさん、かましちゃってくださいよ」「やっぱりマルマルさん最高っすよ」という言葉に突き動かされるままに先頭に立って喧嘩し続けたという話だ。

男にも女にも見られるサービス精神旺盛タイプ

「さすが」「最高だよ」「いないと始まらないよ」なんて言葉でのせられて、期待に応え続けた男たちの末路はなかなか本人にとっては酷なものだ。
言葉通り、きっと自分は必要とされているのだろうと思い、そうであるならみんなが必要としてくれているであろう自らの役割を全うしたいと思い、例えそれが自分のキャパシティをやや超えていたとしても無理しようと思い、気づけば自分を本当に必要としてくれている人なんていなかった。
あっさり切り捨てられ、他でいくらでも補填できる代替可能な存在だった。
誰もついてきていなかった。

自惚れていたといえばそれまでだが、ある意味純粋に人の言葉を信じていただけなのに。

さて女の世界にも、「待ってました」の言葉に「待たれていたのだな、それなら」と愚直に応えてしまうサガの持ち主はいる。
そして男の場合とちょっと違うけどやはり似たような孤独に直面したり、気づけば道化になっていたりするものである。

身近なところで紹介すると、私は完全にソッチ系の女である。

ついつい出しちゃうサービス精神
ついつい出しちゃうサービス精神

セクシーですね、なんて言われたら、やる気満々でセクシーな服を着て登場し、次も期待してますよ、なんて言葉に愚直に応えて、期待されてんのかぁ…それじゃあやるっきゃないっしょ的な気合いでさらにやる気満々ドレスを着て再登場し、気づけば誰からも求められていない半裸の姿を全国に晒している、なんていう喜劇を幾度となく演じてきたし、そうそう人間変わらないしわかっちゃいるけどやめられないことなんてこの世界にいくらでもあるので、多分今後も幾度となく演じるのであろうと思う。

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鈴木涼美

すずき・すずみ●1983年東京都生まれ。作家、社会学者。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、東京大学大学院学際情報学府の修士課程修了。大学在学中からキャバクラ嬢として働きだし、20歳でAVデビュー、出演作は80本以上に及ぶ。2009年から日本経済新聞社に勤め、記者となるが、2014年に自主退職。女性、恋愛、セックスに関するエッセイやコラムを多数執筆。
公式Twitter → https://twitter.com/suzumixxx

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