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牛乳などを「奥から取る」人は88%!「日付が新しい方が得」と考える人が見落としがちな「処理コスト」の真実

見切り品の牛乳で「パニール」作りに挑戦

私がコロナ禍以降、2020年3月から続けている習慣が、ヨーグルト作りです。
牛乳が見切り(値引き)販売されていたら、捨てられる運命から救う意味でも、それを買ってきます。特に消費期限の短い低温殺菌牛乳が値引きされていたら、使い切れる分だけ買います。

最初はヨーグルトの種菌と牛乳を混ぜてヨーグルトを作ります。初めてのヨーグルトができたら、次はヨーグルトの一部を種菌として使います。
ヨーグルト100gに対して、牛乳500mlくらいの割合です。私はドイツ製のガラス容器WECK(ウェック)に入れて、常温に置いておきます。だいたい24時間で出来上がり。固まったら冷蔵庫に入れて、毎朝、蜂蜜を入れて食べています。

他にも、意外と簡単にできたのが、インドのチーズ「パニール」です。

パニールは、インド、パキスタンなどの地域で一般的に使われるチーズ。(撮影/井出留美)
パニールは、インド、パキスタンなどの地域で一般的に使われるチーズ。(撮影/井出留美)

牛乳を火にかけて、レモン汁を加えてゆっくりかき混ぜます。レモン汁の量は、牛乳1リットルに対して、大さじ2杯くらいです。

パニール作りに必要なのは牛乳とレモンだけ。見切り品を使えばロス削減にも貢献できる。(撮影/井出留美)
パニール作りに必要なのは牛乳とレモンだけ。見切り品を使えばロス削減にも貢献できる。(撮影/井出留美)

分離してきたらキッチンペーパーを敷いたざるで濾して、絞ればできあがり。

粗熱が取れてから、水分(ホエー)を絞る。ホエーも使えるので捨てないで。(撮影/井出留美)
粗熱が取れてから、水分(ホエー)を絞る。ホエーも使えるので捨てないで。(撮影/井出留美)

カッテージチーズを、もっとさっぱりさせたような味わいです。サラダにもぴったり。

サラダやカレーのトッピングなど使い道はいろいろ。(撮影/井出留美)
サラダやカレーのトッピングなど使い道はいろいろ。(撮影/井出留美)

パニールを作るときは、ざるで濾すのですが、そのときに出るホエー(乳清)も、塩やコショウ、酢、ごま油などと混ぜればドレッシングになります。
ご存知の方も多いと思いますが、チーズはタンパク質(カゼイン)やカルシウムを豊富に含む栄養価の高い食品です。また、ホエータンパク質にも、ラクトグロブリン、ラクトアルブミン、ラクトフェリン、カルシウムなどが含まれています。

安くなった見切り品の牛乳が、美味しく、栄養価の高い食品になるなんて、とってもお得ではないでしょうか。

コロナ禍で消費量が減っている牛乳。あらためて買い方や使い方を考え直してみませんか。

【捨てないコツ】
・スーパーやコンビニの牛乳は、商品棚の手前から取る「てまえどり」を心がけ、期限内に使い切る。
・見切り品の購入は、捨てられる運命にある食品の救済につながる。
・ヨーグルトやチーズを手作りすると、牛乳が一気に消費できる。

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井出留美

いで・るみ●食品ロス問題ジャーナリスト
奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。「食品ロス削減推進法」成立に協力した。政府・企業・国際機関・研究機関のリーダーによる世界的連合Champions12.3メンバー。
『あるものでまかなう生活』(日本経済新聞出版)、『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬社新書)、『捨てないパン屋の挑戦 しあわせのレシピ』(あかね書房)など著書多数。
食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。

公式サイト●http://www.office311.jp/
Twitter●@rumiide

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