2023.12.18
DV家出、学校や園への伝え方は?必要なら保険証の手続も!【逃げる技術!第5回】A4・1枚のメモが役に立つ!
A4の紙1枚に状況をまとめて、学校や園と共有
当初、学校や園の先生にこんな話をするなんて……? というのは非常にためらわれました。
身内の恥をさらすというのでしょうか、それはお前の差別意識だろう、といわれたらその通りですが、当時は、「我が子はDVのある不完全な家庭の子なのです」と告白するような心苦しさや恥の意識がありました。このように思ってしまうのは私だけではなく、DV被害者に典型的によくあることのようです。
また、DVがあってもやはり夫は夫です。夫の顔を知る担任の先生にそんなことを伝えるのは、彼を晒し者にするような後ろめたさもありました。
結局、わたしは家を出る2日ほど前にA4の用紙1枚に事情、つまり、
・それをきっかけに役所や弁護士や警察などにこれまでのことを相談した
・その結果、重度のDVであるといわれた
・どの専門家も子どもを父親から離すように勧めている
・子を連れて家を出る予定である
・○月○日から〇〇〇〇に住まいを一時的に移す
・もし夫が引き取りにきても子どもを渡さないでほしい
・その際、連絡をくれればすぐ自分が迎えにいく。携帯番号は000-0000-0000である
・学校内・園内でこの情報は必要なところに共有してほしい
・自分はできるだけ子どもの教育機会を奪いたくないと思っていて、普段通り登校・登園させたいので、ご迷惑おかけするかもしれませんがどうぞよろしくお願いします
といったことをまとめて、下校、降園のときに学校と園の担任の先生に直接手渡ししました。「すみません、お恥ずかしいお話なのですが、ちょっとDVがあって子どもと家出しようと思っていまして……」と話してパッと渡したように記憶しています。
紙に書いておけば、子どもたちの目の前で長々と話さなくても伝えられますし、先生が園内や校内で情報共有する際にも便利だと思います。デリケートなことで先生からはつっこんでご質問しづらいかもしれませんので、できるだけこちらから情報開示しようと心がけました。
なお、お伝えしたときの担任の先生のリアクションは園と小学校でまるで違っていて、園では「えっ? えっ? お母さま? そんな……お母さまは大丈夫ですかっ?」と手を口にあてて目を丸くされ、ちょっとドラマチックでした。
小学校では手渡した紙にちらっと目を落としたあとで「ッス。了解ッスー!」といわれました。「あるあるです!」という感じで受け止めてもらえたのは心強かったです。
いずれも家出の牽制や詮索などはされず、気遣ってくださっていました。
子どもの学校や園への情報共有のポイント
・家庭の状況(DVがあること、子への虐待や身体的暴力の有無など)
・専門家(自治体、児相、警察、弁護士、医師など)への相談結果
・いつ、どこに移る予定か
・学校・園にお願いしたいこと
・緊急連絡先
・子どもはこの事態をどう理解しているか(どこまで話してあるか)
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病院・役所・弁護士事務所などでも、メモは活躍!
なお、この情報シェアのやり方は、子どものいないケースでも使えます。
役所や警察などで相談をするときに、うまく言葉が出てこない、相手に正しく記録してほしい、人に聞かれたくないといった思いがあれば、さきほどのポイントを意識してA4・1枚にメモをつくっておいて、はじめに渡してください。
別にA4・1枚でなくてもよいのですが、書くときに「1枚」という区切りを自分で設けてみると、案外すらすらと言葉が出てくるのでおすすめです。
また、A4・1枚なら相手も受け取ってパッと全体を見渡せますし、最近は書類をスキャンして保管する機関も多いので、相手にとっても便利です。
DVからの離婚話がスムーズにまとまらず調停、訴訟……となったときには、その途中でおそらく弁護士さんや医師の先生にもお世話になるでしょう。そのときにも、事前にメモをつくっておいて渡し、それをもとに面談するとスムーズです。
弁護士も医師も大量に読む訓練を積んだ職業の人たちです。テキストをお見せすると即座に理解していただけます。
もちろん、プロフェッショナルと話すことで引き出されるものはたくさんありますから、テキストはあくまで概要をお示しするものとして、面談という直接コミュニケーションできる機会はぜひ活用してください!
役所・病院・弁護士事務所などで相談するときにも、事前に1枚のメモにまとめておいて渡すやり方は有効です。
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