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【中村憲剛×鈴木桂治対談 前編】僕たちは若い選手や後輩にどんな言葉を与えていくべきなのか? 

中村憲剛さんの対談新連載。記念すべき第1回のゲストは、2004年のアテネ五輪100㎏超級金メダリストの鈴木桂治さん(国士舘大学柔道部総監督)。全日本男子コーチとして先の東京五輪では“メダルラッシュ”を後押ししています。同じ1980年生まれで、実はプライベートでも仲良しというふたり。お互いの哲学から考え方まで“思考のパス交換”をどうぞご堪能あれ――。

(取材・構成/二宮寿朗 撮影/熊谷 貫)
同じ1980年生まれ.、実はプライベートでも仲良しだが、こうした対談は初めてとのこと。東京五輪後、興奮冷めやらぬ中の8月、対談は行われた。
同じ1980年生まれ.、実はプライベートでも仲良しだが、こうした対談は初めてとのこと。東京五輪後、興奮冷めやらぬ中の8月、対談は行われた。

全員金メダルを獲るという目標は達成できなかった

中村 
まずは東京五輪、お疲れさまでした。柔道はたくさんのメダルを獲得しましたよね。

鈴木 
いい結果ではありましたけど、もうちょっとやれた選手もいたなっていう思いがあって。前回のリオ(五輪)は全員がメダルを獲得できた。でも今回は全7階級のうち5人が金メダルで、2人がメダルなし。全員金メダルを獲るという目標があって、実際そのチャンスもあった。100kg級、100kg超級を任されている担当コーチとしては、原沢(久喜)がメダルに届かなかったので、これはすごく悔しかった。どうして獲れなかったんだって、いろんなことを考えさせられましたよ。

中村 
桂治くんのその感想を聞くだけで、日本柔道界の意識、基準の高さっていうのが伝わってくる。でもあれだけのメダルはすごいこと。井上(康生)さんが監督で、桂治くんがコーチだから、実績のある指導者の言葉というのは(選手たちに)メチャクチャ説得力があると思う。それに桂治くんはフランクな性格。厳しくとも選手に寄り添って接していたと思うんですよ。だから選手も自信を持って試合に臨んでいたんじゃないかな、と。それにテレビを観ていても、選手、スタッフ含めて一体感みたいなものがあった。そうじゃなかったらあんなにメダルは獲れない。僕も引退して半年以上経ったけど、指導するときのアドバイスとか声を掛けるタイミングって気を遣うなって感じていて、実際どんな声掛けをしていたのか聞いてみたいな、と。

鈴木 
井上監督はそれがすごくうまいなって思う。普段の練習、合宿では担当コーチが選手のそばにずっと一緒にいて、試合の直前になって監督が選手のところにすっと寄ってきて一言二言、声を掛けるだけで選手の気持ちが“爆上がり”する。モチベーションをもう一つ上に持っていくのが井上監督でしたね。

中村 
サッカーでも監督にしかできないこと、コーチにしかできないことってある。そこがごっちゃになるとよくないと思っていて。フロンターレで言えば、鬼さん(鬼木達監督)は、コーチがやることを信じているし、ある程度の部分はコーチに任せてもいて、その隙間で井上さんのように選手に話をしている。でもそれって、全体をしっかりと把握しておかないと難しいこと。監督が首を突っ込み過ぎずに我慢することも大事なんだなって、鬼さんを見ていてすごく感じたことかな。

鈴木 
言いたくても我慢する。その気持ちよくわかる。

中村 
桂治コーチとしてはたとえばどんな言葉を? (100㎏級の)ウルフ・アロン選手は見事に金メダルを獲りましたが。

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新刊紹介

中村憲剛

なかむら・けんご●1980年10月31日生まれ、東京都出身。中央大学卒。
2003年、川崎フロンターレに入団。20年の引退まで同チーム一筋のレジェンド。Jリーグベストイレブン8回。16年にはMVPも受賞。日本代表国際Aマッチ68試合出場6得点。10年南アフリカW杯、出場。最新刊『ラストパス』は現在4刷で話題。
公式ブログ■中村憲剛オフィシャルブログ
公式X@kengo19801031
公式インスタグラムkengo19801031

鈴木桂治

すずき・けいじ●1980年6月3日生まれ、茨城県出身。国士舘中、高、大、大学院卒。早稲田大学大学院卒。
2004年アテネ・オリンピック100kg超級金メダリスト。紫綬褒章受章。20年10月、国士舘大柔道部総監督に就任。男子日本代表の重量級担当コーチも務める。21年4月より国士舘大学体育学部武道学科教授。3児の父であり、釣り、サーフィン、ゴルフなどアクティブに活動中。
公式ブログ■【絆】柔道家・鈴木桂治オフィシャルブログ
公式ツイッター@keijisuzuki594

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