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おしゃれとは「マーケティングとイノベーション」である〜ドラッカー方法論で成り立つファッションロジック

ビジネスの成功に不可欠なマーケティングとイノベーション

ドラッカーの名著『マネジメント』はドラッカー思想の全てがコンパクト(原書は膨大ですが、このエッセンシャル版は300ページほどです)に詰まったもの。
この本の一番の主張は「マーケティング」と「イノベーション」にあります。

「マネジメントの基本機能はマーケティングとイノベーションである」とドラッカーが言う通り、ビジネスの本質・成功させる要因は、実にこの2つにあると、私は今でも考えています。

マーケティングとは簡単に言えば、顧客の欲求に応じた商品サービス提供のこと。
イノベーションとは、顧客が想像し得なかった革新的な商品サービス提供のことです。
この2つのいずれかが欠けても結果に繋がりません。
マーケティングに特化し顧客の欲求に応じるだけでは競争力を失いがちです。

私が「おしゃれになりたい人はまず雑誌を読むよな」と考え、10年前に雑誌を創刊していたら、今頃会社は零細のまま結果も出ず、顧客も大して喜ばなかったでしょう。顧客の欲求を考えることはビジネスマンであれば誰でもおこなうわけで、マーケティングだけでは差別化した商品やサービス提供までは進みにくい。大資本ならいざ知らず、ベンチャーレベルでは特に難しいでしょう。

他方イノベーションとは革新的なサービス提供のことで、他者と差別化された全く新しい提案を指しますが……これはマーケティングが出来ていなければ生み出せません。
皆が何を望んでいるか、市場にどんなサービスやモノがあるか、を俯瞰ふかん的に観察し、その上で新しい提案を起こすわけですから。

マーケティングが出来ていたからこそ、私は当時「メルマガで論理的にファッションを教えよう」と発想できたわけですね。

そして、ファッションに不可欠なのは客観性と差別化

そして私はファッション書籍で何度も書いてますが、おしゃれとは「客観性のある差別化である」と説いています。これは私の本を一冊でも買ったことのある人なら一度は目にしているはずです。実はこの言葉はドラッカーの「マーケティングとイノベーション」から作ったものなのです。

客観性とは「皆が見て理解できる」ということ
差別化とは「他人と何かが違う」ということ

「おしゃれ」とはまず差別化が必要です。
誰かと何かが違うからこそ、「あの人おしゃれだね」と区別されるわけです。皆と全く同じであればそこに価値は生まれませんし、そもそもその他大勢と区別もされません。

しかし、ただのでたらめな差別化だけではおしゃれになれません。ただ単に他人と違うということを追求すればいいのであれば、赤に緑にピンクに、と支離滅裂なコーディネートを組めば勝ちとなるでしょう? でも現実はそうではありませんね。

そこで「客観性」が必要になるのです。
皆が理解できる範疇において(客観性)、差別化するのが「おしゃれ」なわけですね。
実はこれ上述の「マーケティング」と「イノベーション」と同じ意味です。

・世の中の流れを知り、顧客が考えていることを知る客観性=マーケティング
・その他大勢との差別化=イノベーション

この2つが成立して初めて、ビジネスもおしゃれも成り立つわけです。

私はファッションを教えるコンテンツを書くにあたって、「どのように教えるのが早いだろう」「どうしたら理解してくれるだろう」と考えドラッカーに行き着きました。
マーケティングとイノベーション、おしゃれもこれと同じで「客観性のある差別化」こそが世の中で成功するコツであると認識し、ビジネスのみならずファッションでもドラッカー理論を拝借したわけです。

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MB

エムビー●誰もが理解できる「オシャレの教科書KnowerMag」を運営。視覚効果や印象論などをベースにしたロジカルなファッション指南が好評を博す。「最速でおしゃれに見せる方法」「ほぼユニクロで男のおしゃれはうまくいく」などメンズファッション書籍の多数のベストセラーを始め、関連書籍は累計120万部を突破。月額500円のメールマガジンは個人配信では日本1位を記録、月額5千円のオンラインサロン「MBラボ」も常に満員御礼状態に。自身のブランド「MB」発のオリジナルアイテム、大手ブランドとのコラボアイテムも爆発的な売上を記録している。
よみタイ連載をまとめた本作の原作ビジネス書「もっと幸せに働こう」は紙版・電子版ともに多くの支持を集めている。

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