2020.9.28
「これを着たら絶対おしゃれ」「これで絶対儲かる」に正解はない〜真の正解が見つかる「相対的思考」とは?
「相対」は理解にワンクッション必要であるため、自ずとハードルが高いものとなる
しかし、人は「絶対的な正解」を求めようとします。
仮に洋服ならば
「〜〜の場合にはこれが合う」
「〜〜というパンツを穿く際はこのトップスが似合う」
などの「相対的正解」の提示が本当は正しいのです。
しかし人々は
「どんな場合でもどんなコーディネートでも、“これを着ればサマになる”アイテムが欲しい」と思うわけです。「絶対的な正解」を求めるわけですね。
ビジネスも同じです。
「〜〜という能力を持っている人はこれをおこなうのが正しい」
「〜〜という条件の人はこの投資をやるべき」
などの相対的正解の提示が本当は正しいのに
多くの人々は
「これをすれば絶対儲かる」という絶対的な正解を渇望します。
この「欲求と現実の不一致」があることを理解しましょう。
人々は「絶対」を求めるけれど、現実には「相対」しか存在しない……これがビジネスをとても難しくさせていると思います。
例えば、おしゃれ指南のコンテンツなども
「こうするとおしゃれになる」
と書けば反応率は高くなります。皆が望んでる「絶対」ですから。
しかし現実的にはそれは誇張表現です。やり過ぎれば嘘つきになるでしょう。信頼を失うことにつながります。
逆に
「〜〜の場合にはこれが正解です」
「このパンツを着ている場合はこれがおすすめです」
と相対を意識して書けば、それは真実だけど反応率はグッと下がります。
「相対」は理解にワンクッション必要だから、「絶対」を求めている人にはハードルが高いのです。
真実を書いているのに打てど響かず、が続いてしまいます。
私は長年「ドレスとカジュアルのバランス」といった「着こなしの方程式」を提示してきました。
このおしゃれ指南論は「AとBとCを組み合わせれば絶対おしゃれになる」というのものではなく、「AならばBを」「BならばCを」といった相対的に考えさせるものとなっています。
TVなどのメディアに出演するとこれを伝えることがとても難しいものであることを痛感します。
打ち合わせなどをしてもプロデューサーさんなどに「それはわかるんですが、“これを買えば絶対おしゃれ”みたいな分かりやすい答えを出せますか?」と求められます。
TVはマスメディアですから、大勢の方が瞬時に理解できるように、欲求が満たされるように作らなければいけません。「この場合はこれ」といった脳を働かせての思考を必要とする「相対的正解」はウケません。これがとても難しい……。
嘘をつきたくないと思い、相対的な正解を提示するようにすると数字は取れない、しかし絶対的な正解を提示してしまえば嘘つきになってしまう。
そこで「マストバイ」「これがイチオシ!」などの見出しのみを絶対的な響きにして、実際に喋るコンテンツの中身で相対的な説明を心がけるようにしています。
今のところはこれで数字も取れているし、嘘もつかずにすんでいます。
そして、実はこの「欲求と現実の不一致」が世の中を難しくさせている感があります。