よみタイ

群ようこ「今日は、これをしました」

三十数年ぶりに新聞をとる

 そこで目についたのが、何度もとうかんされている新聞購読の案内だった。実はこれまで何度も申し込みをしようとしたが、翌日になると、やっぱりやめておこうと、私の連絡先等を記入したその申込書を捨てていた。しかし昨年末、またまた案内が投函されてきたので、悩んでいるのなら、久しぶりに期限を区切って、三か月だけ試しに購読してみようと申し込んでみた。新聞の書面には体制寄り、反体制などがあるらしいのだが、それによって私の考えが影響を受けるわけではないので、特に何も考えずに、その案内が投函されている新聞を申し込んだ。
 新聞社からはメール、販売店からは確認の連絡があり、希望した日にちに新聞が届けられた。そしてあらためて、なぜか精米したての白米五キロもいただいた。
「えっ、これをですか?」
 びっくりして聞いたら、
「はい、そうなんです」
 と販売店の店主はあっさりといい、契約書を交わして帰っていった。
「米? それもこんなにたくさん」
 首を傾げつつ、米は買ったばかりだったので、食事をるのが困難になっている方々に対して、食事の支援をしている団体にそのまま寄付したのだけれど、今は新聞をとると、物がもらえるしくみになっているのかと、世の中を知ったのだった。

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群ようこ

むれ・ようこ●1954年東京都生まれ。日本大学藝術学部卒業。広告会社などを経て、78年「本の雑誌社」入社。84年にエッセイ『午前零時の玄米パン』で作家としてデビューし、同年に専業作家となる。小説に『無印結婚物語』などの<無印>シリーズ、『散歩するネコ れんげ荘物語』『おたがいさま れんげ荘物語』などの<れんげ荘>シリーズ、『今日もお疲れさま パンとスープとネコ日和』などの<パンとスープとネコ日和>シリーズの他、『かもめ食堂』『また明日』、エッセイに『ゆるい生活』『欲と収納』『よれよれ肉体百科』『還暦着物日記』『この先には、何がある?』『じじばばのるつぼ』『きものが着たい』『たべる生活』『これで暮らす』『小福ときどき災難』、評伝に『贅沢貧乏のマリア』『妖精と妖怪のあいだ 評伝・平林たい子』など著書多数。

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