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不良夫婦
あなたは「結婚」という制度に疑問を感じたことはないだろうか。

連日メディアを騒がせる不倫ゴシップは氷山の一角。女性の社会進出、SNSや出会い系アプリの普及……結婚制度が定められた120年以上前とは、社会も価値観も何もかも違っているのだ。
これは、時代にそぐわぬ結婚制度の抜け穴を探し始めた、とある夫婦の物語。

仮面夫婦状態の櫻井夫婦。妻・麻美は不妊や夫・康介の自分の仕事や悩みへの理解の低さによりストレスを溜めていく。そんな中、麻美は結婚前に心惹かれていた男・晋也と再会。“不良妻”へと目覚めてしまった。

前話はこちら、全話一覧はこちら

(隔週土曜で更新予定です)

「持たざる女」たちの戦い。 美貌、結婚、子ども、キャリア…互いを比べ合う苦しい友情(第9話 妻:麻美)

苛立つよりも呆れる。「幼稚な夫」

「おい。誰にLINEしてる」

怒りを露わにした夫に怒鳴られても、麻美は何も感じなかった。

心地良く酔って帰宅したのは深夜1時近く。さすがに“やりすぎた”という自覚はあったけれど、わざわざ寝ずに自分を待ち構えていた夫には苛立つよりも呆れた。

大人しく家で料理でもしていれば、妻に関心を払うこともなく、大した会話もせずに22時にはさっさと就寝する男なのに。

その身勝手さと幼稚さにうんざりしてしまう。

「……梨花よ。家に着いたって連絡しただけ」

康介を適当にあしらいスマホに向かうと、つい口元が緩んだ。

『次はいつ会える?麻美のこと、帰したくなかったよ』

マメな晋也は、きちんと麻美の欲しい言葉をくれる。

背後にいる夫の怒りが高まるのが手に取るように分かった。いい気味だと思う。自分は夫仕様のお飾り人形ではない。

抱き合いもしない、抱かれたいとも思わない男に義理立てする必要もない。

とはいえ、夫が自分を逃げ道がなくなるまで追い詰めることはしないことも分かっていた。都合の良い“妻”という器を求めているだけの、臆病な男だから。
――好きなだけ勘繰って、勝手に悶々としてればいいわ。

麻美は鼻歌でも歌いたい気分でシャワールームへ向かう。疑うだけ疑えばいい。別にやましいことなんてない。

実際、晋也とは何もせずに帰ってきたのだから。

……今の時点では。

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山本理沙

やまもと・りさ●84年 東京都生まれ。日本女子大学文学部卒卒業後、外資系航空会社客室乗務員、金融機関・コンサルティングファームの秘書業務を経てフリーランスへ。
2015年〜2019年に東京カレンダーWEBにて『東京婚活事情』『結婚願望のない男』『東京ホテル・ストーリー』など多数執筆したのち、2020年10月講談社文庫より初書籍『不機嫌な婚活』を出版。よみタイで好評連載中の漫画『恋と友情のあいだで』(里奈Ver.)共著原作者。『不良夫婦』では(妻side)を執筆。

Instagram●Lisa_fluffy
Twitter●山本理沙/WEB作家




安本由佳

やすもと・ゆか●81年 奈良県生まれ。慶應義塾大学法学部を卒業後、化粧品会社広報、損害保険会社IT部門勤務を経てフリーランスへ。
2016年〜2020年1月 東京カレンダーWEBにて『二子玉川の妻たちは』『私、港区女子になれない』など多数の連載を執筆したのち、2020年10月講談社文庫より初書籍『不機嫌な婚活』を出版。よみタイで好評連載中の漫画『恋と友情のあいだで』(廉Ver.)の共著原作者。『不良夫婦』では(夫side)を執筆。

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