2019.12.20
「あんたは何でも私のものを盗るからね――」 義父との行為に耐え続けた娘に、母が投げかけた言葉
幼い弟たちから、“お父さん”を取り上げちゃいけない
「リスカで家族会議になったあと、義父が妙に優しくなって『(傷痕を)見せてごらん。一緒に寝てあげるよ』って、添い寝をしてくるようになったんです。私は拒否って捨てられるのが怖かったから、拒めずにいると、それがだんだんひどくなってきて……」
リカの使う言葉が「新しい父」から「義理の父」、そして「義父」へと変わる。まるで暗雲が徐々に垂れこめてくるようだ。
「酔って帰ってくると私の布団に入ってきて、下着のなかに手を入れられたり、自分のを私に触らせたりとか……。そのときはもう二人目の弟もいたんですね。私、二人の弟をすごく可愛がってたんです。で、自分が幼いときに父のいない生活をしてたでしょ。それを弟たちにも味わわせたくなくて……。声も出せず、嫌がることもできず、バレないように、バレないようにって……」
十四歳の女の子にできる幼い弟たちへの精一杯の思いやりは、自分自身を深く傷つける行為と引き換えのものだった。
「やられることはだんだんエスカレートしていって、そのときは処女でしたけど、それもそこで……。たいていは義父が酔って帰ってきたときで、『中に出さないからいいだろ』みたいな。あとは顔を手で押さえつけられて舐めさせられたりとか……」
両親の寝室は別になっており、いつも母親が寝たあとだったため、気づかれることはなかったという。ふいにリカがこちらに顔を向ける。目が合う。大人の服を着た女の子、がそこにいる。
彼女は自分に言い聞かせるように言う。
「なにより弟たちがかわいかったから。弟たちから“お父さん”を取り上げたくない一心だったから……」
リカに新たな交際相手が現れたのは、彼女が中三のときのことだ。
「その頃、あるオンラインゲームにハマってたんですね。そのゲームで出会った二十四歳の人と付き合うことになったんです。遠距離の人だったんですけど、彼に私が義父からやられてることを話したら、『そんな嫌なこと、恐いことは俺はしなくてもいい』と言ってくれました。それでタブレットとかでスカイプを繋ぎっぱなしにして、時間があるときに話をずっとしてて……。その時期、彼と出会って精神が安定してたと思いますね」
相変わらず義父による理不尽な性暴力が続くなか、彼女にとっての彼は、シェルターのような存在だったのだろう。だがその安寧のときも長くは続かない。