2022.12.25
1年間で30キロ痩せた男が夢見る、ちょっと素敵な未来のお話
さて、思い返してみると、ルイボスティーを飲み始めるというか、私が美容と健康に興味を持つようになった〝はじまり〟は、近所に住む子供たちに「太っちょゴブリン」というあだ名で呼ばれていることを知ったのがきっかけだった。
向上心も根性もない四十過ぎのおじさんは、今さらダイエットに精を出す気にはなれない。されど、ただのデブではなく、少しはマシなデブにはなれないものかと、美容の道に片足を踏み入れた次第である。
といっても、誇れるようなことは何もしていない。洗顔後に化粧水とパックで肌を整えるぐらいのものだ。だが、そんな簡単なことだけでも、私の肌は別人のようにみずみずしく生まれ変わった。今まで一切何のケアもしてこなかった肌には、ちょっとした処方でも効果はてきめんだったというわけだ。
荒地同然に干からびていた私の肌に、化粧水という川が流れ込み、少しずつ草木が芽吹き始めていく感覚。自分のやったことがちゃんと形になって現れる嬉しさ。それと同時に、今まで自分を大切にしてこなかったことへの少しの後悔と、日々スキンケアに勤しんでいる人たちへの尊敬の念を私は知った。
「文章を書けない豚はただの豚だ」
執筆活動がうまくいかず、醜い姿のまま生きていくことにも嫌気が差した。そうだ、これから食事を届けに来るウーバーイーツの配達員に全裸で対応をして、あっけなく人生を終わらせてやろう。そんなことを画策していたあの頃の私はもういない。今では配達員の人に、少しはマシになった自分の姿を見てもらうことが密かな楽しみになっているぐらいだ。
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