よみタイ

CITY BOYおじさん 湖畔でデュアルライフはじめました。

都会育ちが田舎暮らしを選ぶとき、「寂しさ」をいかに処理するかが肝

我が山の家の隣には、優しいトトロ夫妻が住んでいる

なかなか話が進みません。我が家が山中湖の家を選んだ理由をお話しなければ。
2016年の秋から“山の家”探しをスタートしましたが、富士五湖周辺に絞り込んだのは、割と早い段階でした。
第一条件を、「東名高速を使い、東京から二時間以内で行ける山の中(オプション:富士山が見えるところ)」としたからです。

基本的な生活拠点を東京に置いている我が家が山の家に行けるのは、週末あるいは連休などのハイシーズン。行き帰りのどこかで、多かれ少なかれ渋滞に巻き込まれることを想定しなければなりません。
我慢できるのは、そのくらいの距離にある場所だと考えたのです。
あまり遠いところだと、渋滞のことを考えるとやがて行くのが億劫になり、せっかく買った山の家から足が遠のくことも考えられます。

そして富士五湖で家探しを進めるうち、都会育ちの我が家の民は、基本的に少し人気ひとけのあるところでなければ暮らせないことがわかってきました。
深い山の中のポツンと一軒家や、オフシーズンには人がいなくなる管理別荘地は寂しく、少し怖い感じがしたのです。

十軒ほど候補を見て回ったのちに決めたのは、山中湖の管理別荘地からは少し外れ、定住組と別荘組が半々くらいの地区にある家でした。
我が家の右隣は空き地ですが、左隣には富士山を中心に撮っている写真家ご夫妻が定住していて、常時、写真ギャラリーを開いています。
斜向かいは定年後に定住した東京出身のご夫婦。
お向かいと通りの奥には一棟貸しのペンションがあり、すぐ裏手はレストラン併設の手作りソーセージ屋さんです。
山の中の家といっても、常に人の気配が感じられる場所にその家は建っています。
それが、一番の決め手となったといってもいいでしょう。

東京とは違ってそれぞれの家の敷地は広いので適度な距離感を保ちながら、いざとなったらすぐに誰かの顔を見ることができます。
犬を庭に放すと大喜びで駆け回り、勢い余ってなのか匂いにつられるのか、柵をくぐり抜けて裏のソーセージ屋さんの敷地に飛び込むこともたびたびですが、「ワンちゃん来てますよ〜」と笑って許してくれます。
お隣りの写真家ご夫妻も、いつもとても親切にしてくれます。我が家が不在のときは、採った山菜や手作りケーキなどを玄関先に置いていってくれますが、添えられている「となりのゆう子より」というメモを見ると、「やった、トトロ来た!」と思います。

東京出身者にとっては、田舎暮らしといえどもこういう人の気配こそが、心の安定を生み出す大事な要素なのではないかと思うのです。

近くに人がいるという安心感でデュアルライフが楽しめる。
近くに人がいるという安心感でデュアルライフが楽しめる。

*本連載は隔週更新です。次回は12/9(水)公開予定。どうぞお楽しみに!

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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