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稲田ズイキ「罰当たりなほどにユルくてポップな仏教トーク」

『般若心経』が超スゴいお経であることをアイドル業界にたとえてみた

お経にはグループが存在する

さて、この先の話で、理解していただきたいのは、アイドルの中にたくさんの「派閥」があるように、お経の中にも「グループ分け」があることだ。

例えば、『涅槃経ねはんぎょう』という経典グループには、インフルエンサー釈迦の入滅(死)を説明するお経がたくさん所属している。
それは48グループという派閥の中に、AKB48やSKE48、NMB48が所属しているのと一緒で、それぞれのグループに伝えたいメッセージやブランドが決められているのである。

その中で「くう」という思想を中心的なメッセージにしているのが『般若経はんにゃきょう』というグループだ。

「空」とは、その一文字で仏教的世界観すべてを表現していると言っても過言ではないくらい、仏教のいわば「奥義」のような概念。JKでいう「卍」である。

今回は、平成アイドルのパイオニアであり、グループアイドル制・メンバーの増減制など、アイドルグループの文化の基礎をつくったともいえる一派閥「ハロー!プロジェクト」を『般若経』とおいて考えてみよう。

ハロプロの中に数々のアイドルが所属しているように、般若経の中に、『文殊経』『金剛般若経』『仁王経』など、さまざまなお経が所属している。

最初に「コンパクトさがヤバイ」と説明した『般若心経』も、実はこの般若経グループに属している。般若心経はハロプロなのだ。

早速、『般若心経』について説明を加えたいところだが、そのすごさを説明するためには、その前に『大般若経だいはんにゃきょう』について説明をしないといけない。

大般若経はモーニング娘。だ

勢いのままに上の見出しを書いていたが、ふと正気に戻って、闇に飲まれそうになった。

「般若経をハロプロとしたとき、大般若経はモーニング娘。である。」

自分は今、何を説明しているのか。
就活のとき、SPIの試験でこういう煩雑な文章が出題されていたのを思い出す(実は大学卒業後に一般企業に就職していた)。
まさか、般若心経のスゴさを伝えるために、自らこんなややこしい構文を使う日が来るとは。般若心経は摩訶不思議である。

さて、『大般若経』の話。
『大般若経』とは、これまたすごいお経なのである。その巻数はなんと600巻にも及ぶ。

よくお坊さんがお経本をアコーディオンのようにパラパラとさせている映像を見たことがないだろうか?
あれは「転読」といって『大般若経』があまりにも長すぎて、読むのが至難の技のため、ああやって高速でパラパラさせる省略した読み方が開発されたのである。

問題はその『大般若経』がなぜそんなに長いのか、だ。
その理由は『大般若経』が般若経グループのお経を集大成させて成立したものだからだ。

えっ、大般若経が? 般若経グループのお経を? 集大成させて?

もうなにそれ、ややこしい〜〜〜! 

そこで、ハロプロの出番。
ハロプロのグループの中に、ミニモニ。やプッチモニなどのグループも所属しているが、それらのほとんどが、モーニング娘。という巨大グループの中に、集約されているという現象と一緒である。

だから、その意味で、『大般若経』とはモーニング娘。なのだ。
1997年に誕生したモーニング娘。が現在までモーニング娘。’19として活躍し、ハロプロという一大カルチャーを導いているように、『大般若経』とは般若経グループの集大成。
『大般若経』はハロプロのトップチームだ。

さらに言えば、この集大成である『大般若経』を漢文に翻訳し完成させたのが、玄奘げんじょうという僧侶。この玄奘は西遊記の三蔵法師のモデルとしても知られている。

その意味では、玄奘はプロデューサーであるつんく♂であり、西遊記の一行の孫悟空・猪八戒・沙悟浄は、シャ乱Qのはたけ・まこと・たいせいなのである。

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稲田ズイキ

いなだ・ずいき●僧侶。1992年京都の月仲山称名寺生まれで現・副住職。同志社大学を卒業、同大学院法学研究科を中退、その後デジタルエージェンシー企業インフォバーンに入社。2018年に独立し、寺に定住せず煩悩タップリな企画をやる「煩悩クリエイター」として活動中。コラム連載など、文筆業のかたわら、お寺ミュージカル映画祭「テ・ラ・ランド」や失恋浄化バー「失恋供養」、煩悩浄化トークイベント「煩悩ナイト」などリアルイベントを企画しています。フリースタイルな僧侶たちWeb編集長。Twitter @andymizuki
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竹内佐千子

たけうち・さちこ●漫画家。おっかけ対象が男子で恋愛対象が女子のレズビアン。
自身の恋愛体験を描いたコミックエッセイをはじめ、おっかけ、腐女子、などをテーマにしたコミックエッセイを描き続け、最近はストーリー漫画も描いている。
赤ちゃん本部長』(講談社)、『生きるために必要だから、イケメンに会いに行った。』(ぶんか社)など。
ホームページhttp://takeuchisachiko.jp/
Twitter @takeuchisachiko

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