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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

中川政七商店で買った真鍮製の風鈴で、丁寧な暮らしスタート!?

たまたま通りがかった店先で見つけた鋳物の風鈴が気に入り、連れて帰って家の窓辺に吊るした……。
なーんて。
お前は松浦弥太郎か! 丁寧な暮らしがしたいのか!! ついにヤキが回ったか!?
と、セルフツッコミを入れたくなる気恥ずかしさだ。
だけどいま目の前で、夕方の優しい風にそよぎ、涼しげな音をならす風鈴を見ていると、本当にいいなあと思う。

風鈴にもいろいろあるけど、東京生まれの僕にとってはガラス製の江戸風鈴がなじみ深い。
だが、ガラスの風鈴のチリンカランという硬い音より、金属製の風鈴のリーンリンと響く高い澄んだ音の方が好きだ。
子供のころ家にあった、南部鉄器の風鈴を思い出すからだろうか。
風鈴の音には、人を懐かしく切ない気分に導くものがある。

風鈴の音は、泣けてくるほど日本の夏に似合う

僕が買ったのは中川政七商店の「小田原鋳物の風鈴」、税込2,750円だ。
鈴は真鍮しんちゅう、短冊は麻織物で、“ぜつ”と呼ばれる鈴の中の小片は、リング状になっている。
鈴にも短冊にも、何の模様もないシンプルなデザイン。
僕が気に入ったポイントは、この潔さだった。
なんつーの、ほら。ワビサビっていうの?

中川政七商店は享保元年(1716年)から300年以上も続く、奈良の老舗商店だ。
最近はショッピングセンターにも出店していて、センスのいい和雑貨が並べられているので、僕はよくチェックしている。

しかし日本の夏と風鈴の音は、なんでこんなに似合うのだろう。
ヒグラシやスズムシの声と重なったら、もっと素晴らしい。
スイカに蚊取り線香、うちわなんかも用意したい。
本当にヤキが回ったのかな。でもそれならそれでいいや。
いっちょ丁寧な暮らしでも目指すか。もう、いい年だし。

次はヨガでもやろうかなー。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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