よみタイ

佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

最低あと2週間続く巣ごもり生活を活かし、セルフカットでモヒカンに挑戦!

最後にヘアカットしたのは、昨年12月上旬。
それから5か月ちょっと、髪をずっと伸ばしっぱなしにしてしまった。
何度も散髪にいこうとは思ったのだが、外出自粛で他人とほとんど会わない生活だし、「カット中ってマスクいるのかな?」と考えたら面倒になり、ずっと放置してしまったのだ。

さすがにモッサリしすぎで我慢できなくなったので、髪を切ることにした。
でも、まだ床屋や美容院に行くのは躊躇する。それにせっかくの巣ごもり中なので、セルフカットをすることにした。

もし5月末で緊急事態宣言が解除されるとしても、あと2週間はこの生活が続く。
少しくらい失敗しても、ごまかしは利くだろう。
数少ない僕の自慢は、ケガが妙に早く治ることと髪が異様に早く伸びることだ(本当に自慢にならなすぎてどうしようもないが)。
2週間あれば、大丈夫だ。

おもむろに取り出しましたるはマイバリカン。

でも自分の頭にバリカンを入れるのは、丸ボウズにしていた10数年前以来なのでちょっと心配だ。
しかも今回は、ボウズにするつもりはないので、少し技術も必要だろう。
バリカン片手に(どうしよっかな〜)と悩んでいたら、なぜか妻が「ハイハイ」と手を挙げた。
「大丈夫?」
「大丈夫! 大丈夫!」
「やるの?」
「やる! やる!」
異常に積極的な妻の態度に一抹の不安は感じたが、とりあえず信じてバリカンを手渡した。

家庭内ヘアサロンごっこのはじまりだ。
妻「お客さん、オーダーは?」
僕「じゃあ、モヒカンでお願いします」
妻「……まじ?」
最初はいつも通り、トップの長い髪は生かしたツーブロックにしようと思ったのだが、せっかくなので帯状に髪を残すモヒカン刈りにすることに決めていたのだ。

悪くない、いやかなり格好いい(と本人は信じる)モヒカン刈りが完成!

モヒカンって、一般的には罰ゲーム的な髪型かもしれない。
でも若い頃からハードコアパンク好きの僕にとっては、最高にかっこいい究極髪型のひとつなのだ。

初対面の人と会う機会も多い通常生活では、やはり50男のモヒカンはインパクトがありすぎる。
だけど最低あと2週間は、取材も打ち合わせもない。
それに失敗だったら、坊主にすればいいだけだ。
やるなら今しかない!

途中、クスクスあるいはゲラゲラ笑いながらバリカンを繰る妻の態度は本当に心配だったが、仕上がりは割と悪くないんじゃないかと思う。

もちろん普段は髪を寝かせる。
そうするとモヒカンって、意外と普通の髪型に見えるのだ。
でもバッツンバッツンに立たせて、早くライブハウスに行きたいな。

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Twitterアカウント
  • よみタイ公式Facebookアカウント
佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

週間ランキング 今読まれているホットな記事