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高橋綾子「綾子のギョーカイ総受けグルメ手帖」
「綾子さんに聞けば間違いない!」――美味なレストランも気の利いた手土産もとびきりのお取り寄せも、おいしいものには死ぬほどうるさいギョーカイのみんなが頼りにするのが、フードパブリシスト高橋綾子のグルメ手帖。誰もがうなる美味の数々を惜しげもなく公開します!

苦手だった韓国料理を“大好き”に変えてくれた、ものスゴイ参鶏湯〜韓国食堂 入ル 坂上ル〜

ハッキリ言って通いたい韓国料理店が、この店と出会うまでなかったのです。

そもそも韓国料理=焼肉で育ってしまい、20代で上司に連れて行ってもらった韓国宮廷料理のお店ではプルコギと焼肉しか食べさせてもらえず、その後、新大久保で入ったお店で食べたケジャンが生臭すぎたせいで、しばらく遠ざけていました。

それでも本場なら、と意気込んで行ったところチャミスルの飲み過ぎで泥酔。
食事ができる状態ではなくなりました。それに味噌チゲもサムギョプサルも別段おいしいと思えなかったし、リベンジに行った2回目は大切にしていた高額なネックレスを失くすことになり、自業自得で食に関係ないことだというのに、申し訳ないけれど韓国料理には良いイメージがなかったですね。

店名の由来は恵比寿駅から坂を上がること。確かに忘れない
店名の由来は恵比寿駅から坂を上がること。確かに忘れない

そんな私が「韓国食堂 入ル 坂上ル」に通うことになってしまいました。

きっかけを作ってくれたのは韓国料理ツウの友人の「僕にとって日本一の参鶏湯」というひと言。それを聞いちゃ食べてみたくなるってもんです。
正直、あまり期待しないで行ったけれど、これがめちゃくちゃおいしかった!
本当に感動的な味わいだったのです。

まずスープ!
とろみがついてうっすら白濁したスープは国宝級!
あぁ、なんて優しい味、なんてカラダに沁み入る味なのだろう。

何でも店主、山崎一さんの実母、朴三淳(パクサムスン)さんのオリジナルレシピだそうです。
朴さんは女性で初の韓国調理技能師1級を取得し、国賓の接待や政治家たちが会食に使う「三清閣」で料理長を務めた超一流の料理人。

そりゃ、おいしいはずだ。

写真を見るだけで味の記憶が蘇り、今すぐ食べたくなる
写真を見るだけで味の記憶が蘇り、今すぐ食べたくなる

その朴さんのレシピは3人分で800gほどの大きい丸鶏にもち米だけを詰めて高麗人参、棗、にんにく、水で炊いています。

これってカラダに良いものしか入っていない。
しかも鶏肉が煮崩れしないように炊いて、冷まして、もういちど炊く丁寧さ。
鶏肉からコラーゲンたっぷりの旨味、もち米からとろみが出て極上のスープになったところで塩胡椒で味を整え、仕上げにネギとクコの実を散らします。

それをテーブルに持ってきてくれて目の前で鶏を切ってくれるのですが、包丁もハサミもいらない!
お玉で身がホロホロと崩れます。
韓国ではスープに味はついていないのが普通で、テーブルにある調味料を使って自分の器の中で味を作るそうですが、まぁ、絶対にこんなにおいしくならないでしょうね。
なんてったって超一流の味ですから。

「韓味一の参鶏湯」は1人前1,600円で2人前からオーダーできます
「韓味一の参鶏湯」は1人前1,600円で2人前からオーダーできます

「ウチではお腹いっぱいになってほしいから丸鷄にはもち米しか入れません。大抵は米や棗など材料をすべて入れて、肉を切った時に中からいろいろ出てくることを楽しむのですが、それよりもち米と肉がたくさん食べられたほうがお客さまは喜んでくださると思って」と山崎さん。

韓国では参鶏湯は夏を代表する料理って知っていました?
薬膳料理であるから、土用の丑の日に食べるのが慣習なのだそう。
山崎さんはいつも私のような韓国料理初心者には大変興味深い話をたくさんしてくれます。

これもこのお店の魅力のひとつなのです。

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高橋綾子

たかはし・あやこ●フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレス時代から培った〝食″へのこだわりは、舌の肥えた業界人も頼りにするレベルの高さ。年間1000を超えるという外食の日々が築き上げたおいしいもの好きが嵩じて、ついに2018年2月に東京・下北沢にてレストラン「üchï(うち)」をオープン。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。
Facebook→https://www.facebook.com/ayako.takahashi.1671

uchi→http://uchi.tokyo/

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