2019.4.18
奇跡の天ぷらを食べに静岡のとんでもない人気店へ! 〜板前てんぷら 成生
グルメの間では静岡と言えばこの店名が返ってくるくらい、その名を轟かせている「板前てんぷら 成生」。
注目度は全国区、もし、ミシュラン静岡が出版されたら世界中から食通が静岡に押し寄せてくるでしょうね。
今、予約を取れる月までは当然のごとく満席。
「えっへっへ〜、成生に行っちゃった〜」なんて軽く言おうものなら、羨ましい、どうやって予約を取ったのか、連れていけ、何とかしろ、と糾弾される予約困難店でございます。
そして私の天ぷら人生を変えてくれたのは紛れもなく、こちらの店主、志村剛生さんです。
実は小学生から母が胆石を持っていて、天ぷらを食べる機会がほとんどなかったせいか、大人になっても特に興味が持てなかったのです。職業柄、好き嫌いは言っていられないので、何とか克服しようと名店と呼ばれるお店に行きましたよ。
でも、どんなに良い油を使っていても、あの匂いでたちまちお腹はいっぱいになってきて最後までおいしくいただけなかった。しかも翌朝も胃が油まみれになっている感じで、得意ではありませんでした。
だから初めは「天ぷらか〜、まぁ、お誘い受けたから行ってみるか」って気持ちでお伺いしたのですが、あまりのおいしさに衝撃を受け、今は天ぷらを食べるためだけに新幹線で静岡を何度も往復するようになってしまったのだから自分でもびっくりです。
なぜそこまでハマってしまったのか、お話ししましょう。
あぁ、本日もとんでもないお魚が!
「さっき焼津から届きました。間に待ってよかった」と、目の前に置かれたのはため息が出るほど真っ赤で美しい鰹。iPhoneでは正確な色をお見せできないことが悔やまれる。いや、たとえすごいカメラを使ったとしてもこの濃く、深く、そして透き通るように鮮やかな色は撮れないのかもしれません。これは本物を見た者だけが記憶に残せる色なのでしょうね。
志村さんが仕入れているのはミシュラン星付き店が懇願する、焼津の「サスエ前田魚店」の前田尚毅さんが仕立てした魚。
毎朝前田さんのお店に行き、その日に入った魚を見て、どう調理するか前田さんと話し、届けてもらっています。前田さんも志村さんのお店に通い、仕立てた魚を自身の舌で味わって、志村さんの料理に合うように次の魚を仕立てる、いわば二人三脚で歩んできた。
成生さんもサスエさんも、お互いがいてこそ確立したように思います。
「朝、前田さんから良い鰹が入ったよ、と直接LINEがきました。見れば素晴らしいのはすぐわかったので、僕らはいかに早く切って血が外に出ないうちに食べてもらうかだけです」とおっしゃるけど、そんなわけないです。
料理人の腕があってこそ仕立てた魚が生きる。
どんな良い食材でも料理人がヘッポコだったら宝の持ち腐れ。
そんな料理をどれだけ食べてきたことか。
あぁ、なんということでしょう。
ねっとりとやわらかく、なのに跳ね返ってくるような弾力も持ち合わせている。
魚は寝かした方がって言う人もいるけど、この新鮮な状態で食べることができて本当に幸せ。
リズミカルにタネを油の中に入れて天ぷらが始まりました。
銅鍋は190度くらいの高温と155度くらいの低温の2つを使い分けています。根菜は両方のなべを使いながら長い時間をかけてゆっくり火を入れていきます。
その間に器に大根おろしと天つゆを、お皿には粗いものと粉のようにきめ細かなものと2つの塩を入れて準備万端整えておく。
はい、いつでもどうぞ!