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昭和漂う空間でおいしく食べて飲んで歌うけどカラオケにあらず! 〜歌京〜

「歌京」の仕掛け人は岡田右京さん。
麻布十番と恵比寿にある大人気店「十番右京」のオーナーさんです。

食べることが大好きな右京さんはお店の営業時間の合間にいろいろなレストランに行かれていて本当に顔が広い。
私とも、とあるお鮨屋さんでご一緒したのが始まりです。
ファッション業界から飲食に転身後、レストランのヒットメーカーとなった右京さん、繁盛店を作るその秘訣を訊いてみましょう。

新しいおいしさを生み出すのに必要なものは〝舌の記憶″

自分が行きたいお店を作ろう!とスタートした十番右京は週に3回行っても飽きないお店がコンセプト。

だからシャンパンやワインとは別に日本のお酒を250種類、お料理は100品(オープン時は50品)を揃えたそうです。
これって相当な数ですよ。しかも他ではお目見えしないものばかりで、行くと思わずメニューを“ガン見”してしまいます。

オープン当時はまだ日本酒が”オジサンの飲み物”とされていました。そこで右京さんは軽くて飲みやすい、ワインのような銘柄をラインナップして女性に飲んでもらえるように仕掛けたのです。

これが大当たり!

フルートグラスやワイングラスに注がれた日本酒をおいしそうに飲む女性が急増したのを覚えています。こんなに日本酒の種類があることを教えてもらったのも、十番右京でした。ここから空前の日本酒ブームにまで発展したように思います。

高級食材のトリュフをふんだんにかける「トリュフTKG(卵かけごはん)」を発案したのも右京さんでした。

今やどちらも超メジャーなモノになりましたよね。
アイデアソースはどこから?と訊くと「食べ歩いているから」との答え。

そうなのよね、新しいものを生み出すには舌の記憶が大切なのですよ。

これが「トリュフTKG」です。

今でこそ同じような料理がありますが、2011年の十番右京オープン時はトリュフなんて高級料理店でしか出していなかったし、ましてや「TKG」にこんな量のトリュフを削ってくれるなんてありえなかった。

「トリュフってコース1万円以上の料理に数枚入っている程度。だからたくさん削ってトリュフを味わってもらいたかったし、リーズナブルにしてたくさんの人に食べてもらいたかった」と右京さん。

「TKG」としては1,720円とちょっとお高いけど、トリュフ料理としては破格。
しかもインスタ映えするそのビジュアルは、どんどんSNS(当時はTwitter)にアップされ、TVや雑誌にも取り上げられるようになったそう。
繁盛店になる自信なんてまったくなかったとおっしゃるけれど、他にはないおいしい料理と右京さんの確かな知識に裏付けされたお酒がある十番右京に、グルメも呑んべえも自然と集まり、オープンから半年後には常に満席状態に、そして予約困難店となったわけです。

十番右京で成功した右京さんの2店舗目が、ここ歌京です。

普通なら十番右京が増えていくはずですが、なぜ?
「この奇跡(繁盛した)を大切にしたいと思って一気に増やすことはしたくなかったんです。じゃ、何をやろうかなと考えた時に『十番右京』のBGMはJ-POPのカバー曲を使っていて、とても評判が良いのを思い出したんです。もともとDJもできるので”懐メロBAR”に決定!」したそうです。

女性が来やすいように(これ、重要)、おいしい料理とお酒があって禁煙にした。麻布十番で十番右京から徒歩2分のところに良い物件も見つかった。すべてがとんとん拍子に進んだので絶対に流行るだろうと思ったが、これが大誤算!

「最初は僕の友達しか来なくて、それも一巡するとパタッとなくなりましたね。2年間くらいは赤字でした。スタッフからはオーナーの趣味の店と言われていたくらい(笑)」

ところがまたもSNSに助けられた。
音楽関係の人が来店するようになり、おもしろい店があるよ、ってSNSにアップされるにつれて少しずつ認知度もあがり、満席になる日が増えてきたのだとか。
3年半経った今は芸能人や著名人も頻繁に訪れるようになり、その方の曲がかかると店内は大盛り上がりで、まるでLIVE会場のよう。

ちょっとびっくりでしょ?
でも歌京では普通の事なんです。

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高橋綾子

たかはし・あやこ●フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレス時代から培った〝食″へのこだわりは、舌の肥えた業界人も頼りにするレベルの高さ。年間1000を超えるという外食の日々が築き上げたおいしいもの好きが嵩じて、ついに2018年2月に東京・下北沢にてレストラン「üchï(うち)」をオープン。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。
Facebook→https://www.facebook.com/ayako.takahashi.1671

uchi→http://uchi.tokyo/

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