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NASAがついに本気を出した!? 2025年、「地球外生命体」発見への期待がいっそう熱を帯びる!

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地球外生命体の探査は、NASAがエウロパクリッパーをわざわざ開発し、打ち上げるほど期待値が上がってきている領域なのです。少し前にはあり得ないと思っていたものが、どんどん現実味を帯びてきているこの状況に未来への可能性を感じます。

そんな中で、NASAが地球外生命体に期待を寄せるのは、エウロパクリッパーミッションだけではありません。次にNASAが目指すのは土星にとっての月、衛星「エンケラドス」です。ここにも、生命体の期待が集まっています。この星もまた、地下に広がる液体の海を持つ天体として知られています。

この衛星の特徴は、南極付近の表面から水蒸気が噴き出している点です。これまでの観測では、この水蒸気の中に有機物が含まれていることが確認されていて、生命誕生に必要な要素が備わっていることが既に確認されています。

土星の環とエンケラドス。背景に浮かび上がるのは土星の衛星タイタン。エンケラドスは直径約505キロほどの小さな星 画像提供/NASA
土星の環とエンケラドス。背景に浮かび上がるのは土星の衛星タイタン。エンケラドスは直径約505キロほどの小さな星 画像提供/NASA

そこで今、エンケラドスへの探査が提案され始めています。NASAの最新ロボット「EELSイールズ(Exobiology Extant Life Surveyor)」を活用したミッションの構想です。このロボットは、まるでヘビのような形状をしており、狭い隙間や複雑な地形を移動する能力を持っています。

NASAのジェット推進研究所のチームによる、EELSの地上での実験の様子。画像提供/NASA
NASAのジェット推進研究所のチームによる、EELSの地上での実験の様子。画像提供/NASA
砂地、雪、氷など様々な環境下で実験が行われた 画像提供/NASA
砂地、雪、氷など様々な環境下で実験が行われた 画像提供/NASA

温泉地の間欠泉のように水蒸気を吹き出す噴出口の大きさは様々だと予想されていますが、10cm以上あればその穴にこのヘビ型ロボットEELSは滑り込んでいけるといいます。未知の場所に向かい、その地形を掘ったりするのではなく自然にあるままの状態に順応するように探索をしようとするのが特徴です。

このプロジェクトには日本出身の科学者で作家の小野雅裕さんも深く関わっています。エウロパクリッパー同様これもNASAのジェット推進研究所で開発されており、そのチームメンバーが小野さんです。小野さんもPodcastに出演していただいたこともあり、その時このEELSについて「ここ数年で大きく進歩した領域がまさに地球外生命の探査。この開発を進める原動力はNASAのエンジニアの力だけでなく、地球外生命体の住む環境を見てみたいという人のイマジネーションにもある。」と話してくれました。

彼のような最前線で研究開発をしている目線から語られる宇宙探査のロマンには、胸が高鳴ります。

エウロパクリッパーやEELSロボットのようなプロジェクトは、私たちが「宇宙での生命」という壮大な謎に近づくための重要な一歩です。これらの探査が成功すれば、地球以外でも生命が存在する可能性を直接示す証拠が得られるかもしれません。また、これらの発見は、生命とは何か、そして地球という星がどれほど特別な存在なのかを深く考えるきっかけにもなりそうです。

地球外生命体の探査は、科学の最前線でありながら、私たち全員にとって夢とロマンを与えるテーマです。NASAをはじめとする研究者たちの挑戦が、いつの日か宇宙での生命の発見という歴史的瞬間をもたらしてくれることを期待しましょう。そして、その日が来るまではまだまだ時間がかかるので、私たちもこの壮大な旅を一緒に見守り続けていきましょう。

この記事のお供はこのお酒!

フランスのル・ヴァン・ド・ブレーズの「キュヴェ・マルゲリット2020」。イギリスのミシュラン三つ星レストランのワインリストにも飾られる一本で、月の満ち欠けのタイミングに合わせてブドウを有機栽培するビオディナミに則ったワインです。
地球と月の関係性で成り立つビオディナミ栽培が、近い未来、他の惑星とその月でも語られるのかもしれないという個人的な期待と、今回の記事がピッタリだと思いチョイス。ブドウのフルーティーさが感じられる赤ワインが好きな方にはおすすめです。

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 次回連載第29回は1月10日(金)公開予定です。

参考資料

天文学辞典 ガリレオ衛星/公益社団法人 日本天文学会

エウロパの内部海には酸素がある? 表面の“カオス地形”が関係か/sorae 2022年3月28日

木星の衛星を探査、「エウロパ・クリッパー」打ち上げ成功/AstroArts 2024年10月15日

エウロパの地下海に熱水活動の証拠/AstroArts 2020年12月24日

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佐々木亮

ささき・りょう
理学博士。独立行政法人理化学研究所、NASAの研究員として研究に携わり、その経験と知見を生かし、ポッドキャスト「佐々木亮の宇宙ばなし」を毎日配信している。旬の宇宙トピックスを親しみやすく解説する内容で注目を集め、Apple Podcast日本ランキング3位を達成。第3回Japan Podcast Awardsも受賞する。現在はデータサイエンティスト、中央大学講師として活動している。
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