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大渕希郷「動物ふしぎ観察記」

メスにペニスがある虫、一妻多夫の鳥、15分おきにオスを求めるライオン…メスの求愛が激しい動物たち

オスに子育てを任せて次の繁殖に勤しむタマシギ

メスからオスに積極的にアピールして、1羽のメスが複数のオスとつがう「一妻多夫制」の生殖形態を持つと言われているのがタマシギです。
タマシギはチドリ目タマシギ科に分類される鳥類の一種。湿地、河川の岸など、淡水の水辺に生息し、日本でも本州中部以南で見ることができます。

生物の中にはオスとメスの見た目が異なる種がいますが、オスの方が体格が大きく、見た目も特徴的である場合が多いです。
例えばクジャクは、オスの方が大きく鮮やかな飾り羽を持っています。それを扇状に開いてメスにアピールする姿を見たことがある人もいるのではないでしょうか。

しかし、タマシギの場合、体が大きく模様が鮮やかなのはメスの方。さらに繁殖期になるとメスのくちばしが赤みを増します。さらに、「コーンッ、コーンッ」と鳴きながら飛びまわり、オスを誘います。

タマシギのオスとメス。一見すると、雌雄を逆に思ってしまいそうな風体。体格もメスの方が大きい。(イラスト/大渕希郷)
タマシギのオスとメス。一見すると、雌雄を逆に思ってしまいそうな風体。体格もメスの方が大きい。(イラスト/大渕希郷)

そして無事に交尾を終えたタマシギのメスは卵を産むと抱卵(親鳥が卵を温めて孵化するまで育てること)をオスに任せ、さっさと次のオスをハンティング。子育てには一切関与しません。
一方の残されたオスは、ヒナが独り立ちするまで男手一つで面倒を見ます。

タマシギはこうした「一妻多夫制」をとることで、他の種族のメスが子育てに専念している間に次々と繁殖活動を行い、生存競争を生き抜くことができたのです。

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大渕希郷

おおぶち・まさと●どうぶつ科学コミュニケーター
1982年神戸市生まれ。京都大学大学院博士課程動物学専攻、単位取得退学。その後、上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館:科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教(日本モンキーセンター・学芸員 兼任)を経て、2018年1月に独立。生物にまつわる社会問題を科学分野と市民をつなげて解決に導く「どうぶつ科学コミュニケーター」として活動中。
夢は、今までにない科学的な動物園を造ること。特技はトカゲ釣り。
著書に『新ポケット版 学研の図鑑絶滅危機動物』『新ポケット版 学研の図鑑 爬虫類・両生類』(いずれも学研教育出版)、『絶滅危惧種 救出裁判ファイル』『動物進化ミステリーファイル』(いずれも実業之日本社)、『どうぶつ恋愛図鑑』『へんななまえのいきもの事典』(いずれも東京書店)など。最近は、「こども環境地球儀ハトホル」(渡辺教材教具)など教材開発にも関わる。愛称はぶっちー。
公式ホームページ: http://m-ohbuchi.com/

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