2019.8.19
代理店系メンタリティ男〜独特のカタカナが名刺を彩ってる話
私が通っていた某大学某学部でも最も人気の就職先の一つにカウントされていた広告代理店、それを選んで就職する男のメンタリティを一言で言うと、捨てがたい二択のどちらも捨てないバランスこそ正義、である。
この世にはびこる捨てがたい選択肢の数々
女の恋バナで地味に盛り上がる、
将来安定したつまらない男とどうなるかわからない魅力的な男、
金持ちな不細工と貧乏なイケメン、
浮気しない愚鈍な男と女が何人もいそうな刺激的な男、
優しいデブとオラオラしたモデル、
などの、決めかねるが、決めない限り明日は来ないゲーム。
捨てがたい選択肢とはそういった類のものである。
社会というのは基本的に世知辛いので、誰しも一度は考える。
やりたいことをするべきか、稼げることをするべきか。
自由さを選ぶことなどできないけど、老後の安心を選んだ俺ってつまらない人間なんじゃないか。
遊びたいけどそろそろ身を固めなくては。と。
代理店男の名刺をもらうとそこには、株式会社ナントカとかナントカ局カントカ事業部第一ホニャララ課とかいう文字と氏名の他に、なんちゃらディレクターとか、うんちゃらプランナーとかいうカタカナが刻まれていることは多い。
そのカタカナの文字列の向こう側に、果てしないバランス欲と声にならない俺哲学を見ているのは私だけではない。
名刺にビッグな会社名は欲しい、安定した高収入も、不安のない雇用も、嫁の親を黙らせる社会的立場も、どんな借家も借りられて、どんなカードも作れる信用も欲しい。
しかし同時に、クリエイティブな雰囲気は捨てがたく、自由人で専門性が高そうな格好よさも欲しいし、遊びを知ってる男も気取りたい上に刺激的でアーティーで独創性があって個性的なライフスタイル志望。
会社員の安定とアーティストの自由さという、本来両立し得ない二つの魅力を掴んだまま、二択に分かれた道の真ん中でバランスをとる精神性こそが、なんとなく鼻につく彼らのナントナクの正体とも言える。
アーティストではなくクリエイター、クリエイターではなくクリエイティブディレクターなどと微調整をしながら、生真面目な公務員や貧乏な画家にならずに、港区のタワマンで生ハムの原木を削る。