2021.10.24
「選挙はどろどろの人間ドラマ。それはまるで昼ドラ」——時事YouTuberたかまつななさんが読む『コロナ時代の選挙漫遊記』
常々、政治には多様性が大事だと思っている。
女性政治家が少ないからジェンダー政策がすすまないし、若い政治家が少ないから若者世代にとってはとんちんかんな政策がでてきたりする。勉強すれば、ある程度は理解することができるだろうが、子育て政策なら子育てしている政治家が一番わかるだろう。やはり当事者が大事だ。たとえば、私は政治や社会問題に興味があり、慶應や東大で政治やメディアのことを学んできた。だけど、グレたこともなければ、少年院などは全く未知の世界だ。だから、更生の仕方などに正直当事者意識はもてない。罪を未然に防ぐために、どういう場があればいいのかも実感をもってはわからない。それを語れる人はたくさんはいない。だからこそ、スーパークレイジー君のような人には政治の場で多様性を発揮してほしいと期待している。
彼は声なき声をひろうことができる。政治に興味がない人の視線を政治に向けることができると思った。そして、彼や彼の選挙を私がキワモノとしてみなかったのは、畠山さんが現場にいってその様子を伝えてくれたからである。こういう広がりで、立候補者にもいろんな人がいていいし、面白そうだと思う有権者が増えたらいい。
地元出身者としては、横浜市長選挙の模様も面白かった。現市長の山中さんは、週刊誌にパワハラ疑惑のスキャンダルが出た後、取材を強制的にスタッフが終了するなど「こんな態度の人が市長になってしまったのか」とショックを受けた。また、IRを選挙の時と方針をかえた林文子元市長には、私は個人的には怒りがある。なんのために選挙をやっているのかという落胆があるからだ。同じ考えの人もいたのだろう。だから現場では「嘘つき! クソババア!」という罵詈雑言がとんだ。これは選挙や政治の世界では日常茶飯事のような光景かもしれない。それでも、票ハラスメントやセクハラが横行する現場をみている畠山さんはこの態度を改めてほしいと願う。
私は政治家をYouTubeに呼ぶことが多いが、本当に政治家はすごいと思う。もっと稼げる仕事もあるかもしれないのに、休みもなく毎日働き、常に批判され続ける。いいことをしても、あまり評価してもらえない。そんな日常を見るたびに、政治家になってくれて、また立候補してくれて感謝の気持ちが湧いてくる。正直、私はなりたくないからだ。だからこそ、政治家を単に批判したり、叩いたりしてもいいと思うのではなく、私たち有権者の態度も考え、しっかりと選挙にいき、積極的に社会をつくること、政治に関わらないといけないと思わされた。そう強く思ったのも、この本からは選挙に関わる人たちの顔が見えるからだ。選挙ってこんなに面白いんだ。
畠山さんの新しい選挙取材記事をはやく読みたい。
●第2回 選挙はどろどろの人間ドラマ。それはまるで昼ドラだ。——時事YouTuberたかまつななさんが読む『コロナ時代の選挙漫遊記』
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